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西原宏一・叶内文子の「FX&株 今週の作戦会議」

米ドル/円は押し目買い徹底から、今月は戻り売り! 介入警戒感が高まる中、今月は米利下げ、日銀利上げの公算大で。NZドル/米ドルは利下げサイクル後退で押し目買い

2025年12月01日(月)15:55公開 (2025年12月01日(月)15:55更新)
西原宏一&叶内文子

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米ドル/円が再び160円に迫り、介入警戒感高まる。12月米利下げ見通しとAI関連への疑問後退で、米国株も日本株も上昇

西原宏一(以下、トレーダー西原) ​みなさん、こんにちは。

叶内文子(以下、MC叶内) ​西原さん、こんにちは。今年(2025年)も残すところあと1カ月となりました。

トレーダー西原 本当にあっという間ですね。今年の相場を振り返ると、為替市場は波乱万丈でした。

 年初からはトランプ関税の影響もあり、主要通貨では米ドル安が進行。米ドル/円も一時140.00円割れまで米ドル安・円高が進みました。ただ、その後はクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)中心に円安が進み、米ドル/円も158円台まで戻しています。米ドル/円が再び160円に迫ってきたことから、介入警戒感が再び高まるといった展開になっています。

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米ドル/円 週足
米ドル/円 週足チャート

(出所:TradingView

MC叶内 ​そうですね。株式市場も、年前半はトランプ関税に振り回された一年だったと思います。先月(11月)は一時AI関連株の調整が目立っていましたが、先週(11月24日~)はそのムードを払拭して反発しています。

トレーダー西原 それでは叶内さん、まず先週の株の振り返りからお願いします。

MC叶内 はい。今週(12月1日~)もよろしくお願いします。

 感謝祭の米国株は、アノマリーどおり強い展開となりました。S&P500は前週末比+3.7%と大幅に反発。上昇率は、トランプ相互関税発表後の急落後の5月12日週(5.27%高)以来の高さでした。10月28日(火)につけた最高値(6890.89)にあと0.6%に迫っています。NYダウは+3.2%、ナスダック総合指数は+4.9%といずれも大幅反発です。

上昇の原動力は、FRB(米連邦準備制度理事会)の12月利下げ見通しが戻ってきたことです。パウエル議長の10月の発言などから、4割程度まで低下していた利下げ織り込み度合は、ここにきて9割ほどに上昇しました。これも随分と極端だなと思いますが。パウエル議長に近いとされるNY連銀のウィリアムズ総裁が、利下げを示唆したことが好感されたと言われています。VIXが26超から16台まで急低下したことにも市場心理が表れています。

 もうひとつは、AI関連への疑問が後退したことです。バリュエーションの高さは金利の低下で相殺されました。循環的構造への不安は残りますが、新しいAIモデル「Gemini 3.0」への評価が高くアルファベットが買われ、より一層AIが使われる=半導体が必要、アルファベットのチップTPU(アルファベットが開発した機械学習に特化したプロセッサ)の製造も進むなどの思惑から、半導体関連も上昇しました。GOOG(アルファベットの議決権なしクラスC株)は6.85%高で、前週(8.41%高)に続いての大幅高、そのほかのマグニフィセントセブン(※)もエヌビディアを除いて上昇しています。ライバル登場、一極集中に風穴と伝わるエヌビディアは、前週(5.9%安)から下げは鈍化したものの1%ほど下げて、約2か月ぶりの安値となりました。チャートの形が悪いです。

(※マグニフィセントセブンとは、米株式市場を代表するテクノロジー企業であるアルファベット、アップル、メタ、アマゾン、マイクロソフト、テスラ、エヌビディアの7社を指す)

 日本株も米国株高の流れを受けて上昇。日経平均は連休明けの4営業日すべてプラスで前週末比1628円(3.3%)高の5万0253円と反発、5万円の大台を回復しました。特筆すべきは、米ハイテク上昇で半導体関連が買われただけでなく、銀行、証券、不動産、電力など内需株にも買いが広がったことです。TOPIXは+2.4%で2週ぶり上昇、11月13日(木)の最高値(3381.72)に接近しています。3月期決算企業の中間配当の再投資などにも期待があるようです。

 また、この週は小型にも物色が広がり、グロース250が+2.81%高となりました。投資主体別売買動向によりますと、先週のグロース市場では海外投資家が14週ぶりに買い越しに転じていました。8月からずっと下落していただけに、下値で買いが出たのかもしれません。年末にかけては税金対策の売りが個人投資家から出そうですが、なにか変化の芽になるのか注目しています。

 為替市場はいかがでしたか。

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RBNZの利下げ余地後退で、対オセアニア通貨中心に米ドル安進行

トレーダー西原 個人的には先々週(11月17日~)話題となったマイケル・バリーのコメントに注目していました。

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 11月25日(火)発表した内容は、新しいSubstack(※)ニュースレター「Cassandra Unchained」の開設と、AIバブルに関する分析でした。

(※Substackとは、作家やジャーナリスト、クリエイターが有料のニュースレターを配信できるアメリカ発のプラットフォームのこと)

 AIバブルに関する分析は、エヌビディアをドットコムバブルのシスコに例えて警告するなど、ある程度想像したとおりでしたが、Substackニュースレター「Cassandra Unchained」の宣伝といった側面が強く、拍子抜け。

 一方、先週はオセアニア通貨を中心に、すべての主要通貨に対して米ドルが下落しています。

先週の主要通貨の対米ドル騰落率チャート

 12月10日(月)FOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げをほぼ織り込む流れになりました。本稿執筆時点で、OIS(※)での米国利下げ織り込み度は95%まで上がってきました。

(※編集部注:OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ、翌日物金利スワップ)とは、固定金利と変動金利の翌日物レートを交換するスワップ取引のこと。中央銀行の金融政策スタンスに対する市場の見方を観察するのに適した指標として注目されている)

 利下げ織り込み度が上がったきっかけになったのは、NY連銀のウィリアムズ総裁とウォーラーFRB理事が利下げに前向きなスタンスだったこと。

 これにより、マーケットはすでに利下げをフルに織り込んでいるので、「12月に利下げしないと逆にびっくり」というセンチメントになってきました。

 一方、ニュージーランドドルに関しては、RBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])のスタンスが変わったことが影響しています。

 RBNZは2.50%から2.25%へ0.25%利下げを実施しつつ、ガイダンス上は「リスクは概ねバランス」「政策金利は2026年まで据え置きとなり得る」「将来の政策は中期インフレとマクロ指標次第」と、追加利下げ余地を大きく後退させる内容でした。

 これにより従来の緩和バイアス撤回から、利下げサイクル終了フェーズ入りという流れとなり、ニュージーランドドルは、構造的な売り通貨から押し目で拾う候補へ格上げされたのではないかと想定しています。また、豪ドル/ニュージーランドドルも大きく値を下げています。

 先週の米ドル/円高値は157.19円、安値は155.65円、引けは156.18円と、比較的狭いレンジでの推移となったものの、米ドル安の流れから一時155円台へ下落するなど円買いの動きも見られました。ただ、叶内さんがご紹介したように、米国株の反発につれて156円台に戻して引けています。

 注目すべきは、高市政権の経済ブレーンとされるクレディ・アグリコル証券の会田卓司チーフエコノミストの発言です。会田氏は「積極的な介入で円安の副作用を軽減へ」との見通しを示し、市場では介入警戒感が一段と高まりました。仮に米ドル/円が160円に接近する局面では、当局の動きに最大限の注意が必要です。

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 それでは、今週のイベントと株の注目点をお願いします。

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米ドル/円は過去半年の押し目買い徹底から、今月は戻り売り。今月は米利下げ、日銀利上げの可能性高い

MC叶内 経済指標は、FRBの利下げ観測を左右する可能性があり注目です。12月1日(月)の米ISM製造業の景況感指数11月分、12月3日(水)の民間雇用サービス会社ADPの11月全米雇用報告、ISM非製造業景気指数のほか、12月4日(木)のチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスの人員削減数も、前回相場を動かしたので見ておきたいところ。

 インフレ指標としては、12月5日(金)に9月の個人所得と個人消費支出と同時に個人消費支出デフレーターが出ますが、9月の数値なので12月金融政策への影響度は小さそうです(政府閉鎖の影響で一部指標の公表はまだ流動的です)。

 ブラックフライデーの販売実績も発表されます。出足は好調のようです。

 国内では12月1日(月)の7~9月期法人企業統計調査、12月5日(金)の10月全世帯家計調査、10月景気動向指数が注目です。また、12月1日(月)に日銀植田総裁の講演、記者会見がある予定です。金融政策決定会合を12月18日(木)、19日(金)に控えどんな発言があるか注目されます。

 為替はいかがですか?

トレーダー西原 まず米金利の動きをチェックします。

 前述のように、本稿執筆時点でOISでの米国利下げ織り込み度は95%まで上がってきました。

 つまり、米国では12月10日(水)FOMCでの利下げがほぼ確実という流れになっており、米金利の動向からは、主要通貨に対して米ドル売りの流れ。

 一方、12月19日(金)の日銀利上げ織り込み度もじわじわ上がってきており、現時点で75%程度。きっかけは野口審議委員のコメントでした。

 これまで日銀の中でも特に「景気を最優先、利上げ慎重派」だった野口審議委員ですが、11月27日(木)の大分市での金融経済懇談会講演で「為替や資産価格の動向は金融政策にとっての重要な波及チャネル(経路)だ」と述べ、円安の進行が輸出の拡大や輸入物価の上昇を通じて経済や物価を押し上げるとの見方を示し、円安が加速すれば利上げの必要性が高まるとの考えを示唆しました。

 これは、当局が「さすがに今の円安はまずいかもしれない」という危機感を拡大させ、円安を止めるために利上げを受け入れるのではないかと想定します。

 これが、米ドル/円の上値を抑えています。

 今月はFOMCが利下げ、日銀が利上げといった公算が高まってきたため、過去6ヶ月は徹底的に押し目買いしていた米ドル/円ですが、今月は戻り売りスタンス。調整に入ったスイスフラン/円も戻り売りスタンスです。

米ドル/円 週足
米ドル/円 週足チャート

(出所:TradingView

 そして、RBNZが利下げサイクルを終了したニュージーランドドル/米ドルは押し目買いでしょうか?

トレーダー西原MC叶内 それでは、今月も株と為替のトレードを楽しんでいきましょう!


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