ザイFX! - 初心者必見のFX総合情報サイト

田向宏行
----年--月--日(-)日本時間--時--分--秒
陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

さらなる円安の進行も、円高の進行も容易ではないが、
2026年は「円高」の年になる運命だとしたら――高市
トレードで先高観が強い日本株の動向に注意が必要!

2025年11月28日(金)17:57公開 (2025年11月28日(金)17:57更新)
陳満咲杜

少額で取引を始めることができる手軽さと、「二者択一」のシンプルなルールで人気のバイナリーオプション。国内の全7サービスを比較して紹介!

【※FXおすすめ口座人気ランキングの情報はこちら!】
【毎月更新】FX初心者にもおすすめ! ザイFX!読者が選んだ人気No.1のFX口座は? トップ10にランクインした全口座を「FXおすすめ口座人気ランキング」でチェック!


日銀の利上げ観測があっても円はあまり買われておらず、利上げ後は逆に円売りが一段と活発になりかねない?

 日銀の2025年年内利上げ観測が高まりつつある。円安がもっとも大きな背景と解釈され、これ以上の円安はまずいから、高市政府はむしろ日銀の利上げを促している、といった怪しいウワサさえある。

 しかし、仮に日銀が来月(12月)に利上げを実行しても、大幅な利上げはできない上、利上げ観測があっても円はあまり買われていない

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

 となると、想定どおりの利上げを通過すれば、逆に一段と円売りが活発になりかねないと言われる。ジレンマはそこだろうか。

 とはいえ、さらなる円安の進行も容易ではないと思う。日銀利上げの有無よりも、高市政権が打ち出した21兆円超の財政出動がマーケットに織り込まれている、という可能性が大きいからだ。株も為替も現実より先行する習性があるから、前述のジレンマを単純に解釈すべきではない。

財政懸念も利上げも今のレートに織り込まれているなら、さらなる円安の余地をもたらす材料にはなれない

 言ってみれば、「財政懸念が深刻だから円が大きく売られてきた」と解釈するなら、日銀の利上げがあっても無風通過となり、またインフレの進行に追い付かないから、利上げ後に円がさらに売られる、といった論調には矛盾がある。

 財政懸念も利上げも今のレートに織り込まれているなら、利上げの実施自体が円の買い戻しにはつながらないとしても、さらなる円安の余地をもたらす材料にはなれない

 それは株式市場の動向も同じだ。いわゆる高市トレードの結果として、日経平均が11月4日(火)に5万2600円超の史上最高値を付けたが、想定よりさらに大きな予算案が通過しても、株価は大きく反応しなかった。織り込み済みとはそういうことだ。

日経平均 日足
日経平均 日足チャート

(出所:TradingView

 財政懸念自体も大袈裟に解釈されるべきではない。長期金利の急騰があっただけに、一部の海外投資家は日本国債を積極的に買い入れていると、先日、日経新聞でも報道していたから、金利上昇自体のメリットもある。

 さらに、日本の国債残高自体、政府債務残高の対GDP比をみれば、確かに先進国の中で最悪の状況だが、国債利払いの対GDP比の計算では、G7の中ではむしろ優等生で、長期金利の急騰を配慮に入れても結論は同じだ。

 したがって、「財政懸念が大きいから、円がさらに大きく売られていくだろう」といった観測自体が怪しい。懸念自体が世間にすでに大きく浸透した以上、今の相場に反映済みのはずだ。もちろん、現時点ではなく、将来への思惑も含む。

これから円安が一段と進行するとすれば、米ドル高のほかないが、これ以上の米ドル高は考えにくい

 もっとも、対米ドルのみの話なら、前回のコラムでも指摘したように、円はまだ2025年年初来の安値を更新していない。

【※関連記事はこちら!】
米ドル/円は158円に迫ったが、さらなる円安の進行は困難! リスクオフはまだ本格化しておらず、パニックがあるならこれから。行きすぎた円安の反動を覚悟すべき(2025年11月28日、陳満咲杜)

 米ドルも弱いから、米ドル/円ではなく、ユーロや人民元からみれば、今の円安は最悪だといった反論も聞こえてきそうだが、為替は米ドル次第であり、また、円も含め、諸外貨の高安もあくまで米ドルをもって測ることを強調しておきたい

 したがって、これから円安が一段と進行するとすれば、米ドル高のほかあるまい。だが果たして、これ以上の米ドル高があり得るだろうか。

 たびたび指摘したように、米ドル/円のレートは現時点でも日米の実質金利差と大きな乖離を示している

【※関連記事はこちら!】
米ドル/円は158円に迫ったが、さらなる円安の進行は困難! リスクオフはまだ本格化しておらず、パニックがあるならこれから。行きすぎた円安の反動を覚悟すべき(2025年11月28日、陳満咲杜)

 しかし、このような乖離はおそらく「史上最大」なので(少なくとも去年(2024年)の夏場、すなわち162円の大台を打診した時期より大きい)、これ以上、乖離が拡大するには、何らかの特別な材料が必要だと思う。

 高市トレード自体も、今の金融相場をもって実ったのであれば、これ以上の市況を期待しにくいだろう。株式市場のパフォーマンスのみで言えば、すでに賞味期限切れの可能性が大きい。「出遅れている」為替市場であるだけに、これからの反応パターンがあれば、さらなる円売りよりも、円の買い戻し、といったところではないだろうか。

円が買われるとしたら、深刻なリスクオフの局面。2026年が「円高」の年になる運命ならば、先高感が強い日本株の動向に要注意!

 ただし、円の買い戻し自体も容易ではない。円の安値を追えないとしても、現時点で円を積極的に買う理由を見つけられないからだ。高市政権が緊縮政策に転換するとは考えにくいから、現時点で円高の可能性は論じられないと思う市場参加者が圧倒的に多いのではないだろうか。

 そのとおりだと思う。現時点で円を買う理由をあまり見つけられない状況だ。しかし、金融相場において、市況が急変した後になって理由がやっと出ってきた、という前例は枚挙に暇がないのも事実だ。円が買われる、場合によっては大きく買われることがあるならば、それはほかならぬ、深刻なリスクオフの局面ではないかと思うわけだ。

 ゆえに、株式市場の行方を慎重に見るべきだと思う。円高につながるほどのリスクオフがあれば、高市トレードの結果として大きく買われた日本株は、一転して大きく調整してくる可能性がある。もちろん、この場合は米国株の大幅な調整も想定しておきたいというか、前提条件になってくるかと思う。

 そんなバカな…と思われるかもしれないが、筆者が2010年書いた『相場の宿命』という本のタイトルのように、相場には皆さんの人生とおなじく、定められた「運命」がある。2026年は円安ではなく円高の年になる「運命」がすでに決められているなら、先高感の強い日本株だからこそ、要注意だと思う。

 ちなみに、史上最高値圏にある日本株に関する見方は、総じて楽観的とはいえ、機関投資家のなかでも濃淡がある。その中で、(言葉は悪いが)三流やそれ以下の機関がもっとも強気のように見える。これもあまりいいサインではない…市況はいかに。

おすすめFX会社
link

100万口座達成!

GMOクリック証券[FXネオ]

最短即日取引可能なGMOクリック証券!

link

最小1通貨から取引可能!

SBI FXトレード

最狭水準スプレッド&最良水準スワップポイントのSBI FXトレード!

人気のザイFX!限定タイアップキャンペーンをPickUp!
FX初心者のための基礎知識入門
バイナリーオプション比較 キャンペーンおすすめ10 スワップポイント比較
バイナリーオプション比較 キャンペーンおすすめ10 スワップポイント比較
『羊飼いのFXブログ』はこちら
↑ページの先頭へ戻る
CFD口座おすすめ比較