材料が異なっていたものの、共通点のヒントが2012年11月26日のコラムにて提示していたチャートに秘められている。
【参考記事】
●米ドル/円の85円程度は通過点。なぜ長期円安時代が始まったと言えるか?(2012年11月26日、陳満咲杜)
(出所:米国FXCM)
上のチャートで記しているとおり、ミスター円にしても、アベノミクスにしても、榊原さんや安倍さんの神通力というよりも、相場自体が198カ月サイクルのボトムを打ち、新たなサイクル(16~17年サイクル)の上昇期に入っている段階にあることがわかる。
したがって、こういった段階では相場が何らかの円安材料を求めているし、またこういった材料が出てくれば、相場は大きく反応していく。相場の真実はまさにここにある。
■円安ターゲットも1995年程度となるのか?
そして今回の円安のスピードは速かったものの、1995年の円安トレンドに比べると、実はまだ緩やかなほうだということがわかる。
となると、やはり年内における円安ターゲットも大幅に引き上げなければならないのではないかという考え方も出てくる。
しかし、こういった判断は時期尚早だと思う。まず、1995年の反騰相場を詳しく見てみよう。
(出所:米国FXCM)
当時の円安トレンドは、G7(先進7カ国)の協調介入が2回ほど実施されたからこそ、急激なV字型急伸がもたらされた。
それと比較すると、今回のアベノミクス相場は、政策面ではG7協調介入ばかりか、日銀の単独介入もなかったから、スピードの差があって当然だ。
言い換えれば、単純に1995年の円安スピードがより激しかったから、今回の米ドル/円もガンガン上昇していくと思うのは性急な判断であり、事情が違っているところも考慮しなければならない。
実際、今述べている根拠はまだ決定的な要素ではない。決定的な要素はやはり相場自体、つまり相場の内部構造に答えを求めなければならない。
結論を先に申し上げると、今回の円安トレンドのスピードが、1995年のような急激なものでないからこそ、ホンモノの円安相場につながる可能性が大きいと言える。
このあたりの話は、2012年年末から先週(1月21日~)まで残してきた問題といっしょに、次回にて総括したいと思う。それではまた来週。
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