■米ドル/円の100円到達はちょっと時間がかかりそう
前述のように、2013年に入って米ドル高を牽引してきたのが、米ドル/円と英ポンド/米ドルです。
この中でも、米ドルの上昇が突出しているのが「アベノミクスでの円安」も伴った米ドル/円。
ただ、こちらは少々、調整局面入り状態となっています。
3月8日(金)の米雇用統計をきっかけに、米ドル/円は一時96.71円まで急騰しました。
ただ、節目の97.00円のレジスタンスが超えられず、反落しています。
(出所:米国FXCM)
今回の米ドル/円の上昇は、2012年の77円近辺を発射台としているため、97.00円でほぼ20円、上昇したことになります。
値幅としては、大台の100円まであと3円強のところまで上昇してきた米ドル/円ですが、97~98円付近がレジスタンスとなり、100円到達まではちょっと時間がかかりそうです。
(出所:MetaQuotes Software社のメタトレーダー)
■ヘッジファンドの利益確定売りで上値が重い米ドル/円
米国経済指標が軒並み改善している中、米ドル/円が上値を更新できない背景には、欧米勢の利益確定売りがあります。
スポットマーケット(現物市場)では、彼らからの利益確定売りは目立ちませんが、3月に入ってオプション市場では変化が起こっています。
米ドル/円のオプション市場では、断続的に円プット(円を売る権利)の売りが持ち込まれ、米ドル/円のボラティリティが低下しています。
アベノミクスを背景にオプションを利用して、大きく米ドル/円の上昇に賭けていた欧米ヘッジファンドが、利益確定を持ち込んでいる模様。
上記の背景から、米ドル/円の上値は重くなっています。
調整局面に入った米ドル/円を横目に、米ドル高の主役は、英ポンド/米ドルやユーロ/米ドルに移行。
今回の米ドル/円の調整が値幅を伴なって大きな下落を引き起こすのか、単に時間調整に終わるのかはわかりませんが、マーケットはガンマロング(※)なので、米ドル/円は高値追いをせず、調整での反落を待ちたいところです。
(※編集部注:「ガンマ」とはオプションの指標の1つで、「ガンマロング」とは簡単に言うとオプションの買い持ちのこと)
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