■6月は安倍政権の成長戦略とGPIF改革が焦点
先週のコラムでご紹介したとおり、当局が1万4000円を強行にサポートしていると言われている日経平均は反発。
【参考記事】
●当局の意向!? 日経平均は1万4000円を再度死守。ドル/円はダブルボトムで反発か(5月22日、西原宏一)
本稿執筆時点で1万4700円台まで値を戻しています。
(出所:株マップ.com)
米ドル/円も一時102円台まで回復しましたが、102.00円近辺のオプションのガンマ(※)からの米ドル売りに押され、本稿執筆時点では101.70円付近で膠着しており、日本株の反発に出遅れている展開。
(※編集部注:「ガンマ」とは、オプション取引で使われる用語の1つ)
(出所:米国FXCM)
ただ、6月は安倍政権がまとめる成長戦略が発表となります。マーケットの予測では、法人税率の引き下げやGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の改革が焦点となります。
注目はGPIFの改革です。
4月16日(水)に麻生財務大臣が「GPIFは6月以降に動きが出る」とコメントしただけで、日経平均が急反発したのは記憶に新しいところ。
129兆円の運用資産を抱える「世界最大の年金基金」であるGPIFですが、今回の改革は国家公務員共済(7.8兆円)、地方公務員共済(17.5兆円)、私立学校教職員共済(3.6兆円)にも適用される見込みとなっています。
ある証券会社の見込みでは最大20兆円の外国証券投資につながるとのこと。
また、GPIFのポートフォリオにおける日本株の組み入れ比率が大幅に引き上げられることがマーケットでは予測されており、日本株は為替に先行する形で反発しています。
■ヘッジファンド来日のウワサ! 欧米投資家の注目は?
前述のように、米ドル/円は102円近辺のオプションからのオファー(売り指値)に阻まれ、今週は上値を更新できない展開が続いています。
しかし、こうしたオプションも次第に満期が到来し、実際に公的年金からのフローがマーケットに持ち込まれるようであれば、米ドル/円は再びじり高の展開になる可能性が濃厚。
(出所:米国FXCM)
昨年、2013年5月に米ドル/円が103円台に到達してからほぼ1年が経過し、結果として米ドル/円は一時的にしか上値を更新できていない状態。
この間、欧米投資家の「アベノミクス」に対する期待はかなり後退しました。
しかし、マーケット関係者によれば、今週から来週にかけて、いくつかのヘッジファンドが東京に訪れるとのウワサもあり、欧米投資家も6月の「成長戦略」には注目しているようです。
マーケットが注目する「成長戦略」が期待どおり進行すれば、ボラティリティが低下して、膠着している米ドル/円のマーケットが再び動意づく可能性が濃厚です。
6月に向けて、「成長戦略」の報道と、日経平均と米ドル/円の動向に注目です。
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