■米ドル/円が高値更新できなかったことが円安の限界を示す
ところで、主要通貨のうち、先週末(10月3日)は米ドル/円のみ高値更新できず、円安の限界をいち早く示していた。
(出所:米国FXCM)
ゆえに、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の頭打ちはより鮮明になり、ベア(下落)トレンドへの復帰が一段と明確になってこよう。
前回コラムの指摘どおり、ユーロ/円、英ポンド/円が揃って9月19日(金)の「上ヒゲ」チャートをもって頭打ち(ユーロ/円の場合は戻りの限界)を示しており、今後、安値トライが続くだろう。
【参考記事】
●クロス円はもう頭打ち! 円安クライマックス最終段階で来週の市場は大転換期に?(2014年9月26日、陳満咲杜)
中期スパンにおける円安トレンドはすでに終焉していたと認識、米ドル/円なら、2014年の年内いっぱい、あるいは2015年春まで、クロス円ならより長いスパンの円高トレンドの展開を覚悟すべきだろう。
■米ドル/円は中期的には5円、長期的には100円台打診も
米ドル/円の反落に関して、中長期スパンをもってそれぞれの余地を測ってみたい。中期スパンでは、先週末(10月3日)、米雇用統計後に高値更新ができなかったことから、大きなヒントを得られるのではないだろうか。
なぜなら、同統計は結果的に予想より良かったにもかかわらず、米ドル/円が反落してきており、これは8月米雇用統計発表後の反応と対照的だった。
8月米雇用統計は、予想よりかなり悪かったにもかかわらず、その後、5円程度の上昇幅を達成したから、今回はその逆で、5円程度の下げ、つまり105円台へ戻してもおかしくなかろう。
長期スパンに関しては9月5日(金)のコラムにて詳しく説明したので、ここでは省略するが、10円超の値幅なしでは調整とは言えないから、最近の高値から考えると、少なくとももう1回、100円大台の打診を見込めるだろう。
【参考記事】
●ドル/円はもう1~2円上値余地はあるが、10円超の本格調整ありという見方は堅持(2014年9月5日、陳満咲杜)
この見方が成立するかどうかは、これからの値動きによって検証されるが、現時点の値動きでも、当方が繰り返し指摘してきた「為替の真実」を十分証明できるだろう。
すなわち、「米雇用統計良いと米ドル/円が上がるはウソ」であり、「マーケットは指標次第というものではない」ということだ。
■クロス円の下落はさらに大きな値幅を想定
米ドル/円の反落余地が仮に10円程度としたら、ユーロ/円などクロス円はもっと大きな値幅を達成するだろう。米ドル/円に関するロジックが、そのままクロス円にも通用するからだ。
ユーロ/円は2012年7月安値から一直線に上昇してきたが、2013年年末高値まで10円を超える調整がなかった。2014年に入ってから2月安値までいったん急落したが、9円程度に留まり、本格的な調整はこれからだろう。
また、2013年高値から引かれる「下落トライアングル」といったフォーメーションは、これから下放れがあれば大幅に下落余地が拡大し、9円を超える値幅が出るだろうことを暗示している。
この場合、2012年安値を起点とした全上昇幅の38.2%押しの位置である126円の節目前後とも整合性が取れ、これからのターゲットを示唆してくれているとみる。
いずれにせよ、行きすぎた円安はすでに修正されており、最近の日米株の軟調と相俟ってトレンドの転換を示唆していると思う。また、VIX指数の上昇傾向から考えて、秋相場の“波高し”を覚悟すべきだろう。市況は如何に。
(14:00執筆)
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