■SNBは防衛ラインを意地でも死守?
では、ユーロ/スイスフランが1.2000フラン割れとなる可能性はあるのだろうか?
ユーロ安・スイスフラン高要因がある中でも、SNBがスイスフラン売りの無制限介入の方針を維持している限り、ユーロ/スイスフランの1.2000フランは死守されるのではないかと鈴木さんは話す。
「まず、SNBは対ユーロでのスイスフランを1.2000フランで防衛するとの方針を維持しています。そして、自国通貨(スイスフラン)高阻止なのでSNBの意向を反映しやすい。言ってしまえば、紙幣を刷ればいいだけということだからです。
さらに、日本の場合は為替介入の権利は財務省が持っていて、それを日銀が仲介するという形になっていますが、スイスの場合はSNBが為替介入の権利も持っているので、SNBの判断で紙幣を刷って、スイスフラン売り介入することが可能です。そういった意味でも強力に通貨高を止めることができます」
自国通貨売り(今回の場合はスイスフラン売り)介入は、理論的には輪転機を回して紙幣を発行すれば無制限に行うことができる。一方、その逆の外貨売り介入は、外貨準備として、その国が持っているその外貨の量までしか行うことができない。
【参考記事】
●JPモルガン・佐々木融さんに聞く(6)スイス中銀の介入が成功と言うには早い
「ユーロ/スイスフランが1.2000フランを割り込むと投機的な売りが入ってきてやっかいなことになるので、SNBとしては防衛ラインの1.2000フランを死守してくるのではないでしょうか」
【参考チャート】
●FXチャート&レート:ユーロ/スイスフラン 日足

(出所:米国FXCM)
鈴木さんは、ユーロ/スイスフランの1.2000フランは死守されるとの見方だが、ここから、ユーロ/スイスフランをトレードしていくにはどうしたらいいのだろうか?
■ユーロ/スイスフランのトレード戦略は?
鈴木さんは、現在はFXストラテジストという肩書きだが、金融機関の中で自己裁量でトレードをする「プロップディーラー」として10年以上の経験を持つ、プロ中のプロ。
【参考記事】
●元プロップディーラーの2015年為替予想。米ドル/円は125円へ! 高金利通貨も注目
そんな、鈴木さんにユーロ/スイスフランのトレード戦略について聞いてみた。
「ユーロ/スイスフランは、SNBが1.2000フランを防衛する方針を維持する限り、1.2000フランの20~30pips下にストップロスを置きながら、1.2000フランぎりぎりのところを買っていく方法が良いのではないでしょうか。
1.2000フランぎりぎりの水準で買うことにより、損失を限定しながらポジションを持つことができます。
現状、ユーロ安・スイスフラン高なのでトレンドに逆らうことになるのは気になりますが、1.2000フラン防衛はSNBが言っていることなので、そこは信じるしかないでしょう」
【参考チャート】
●FXチャート&レート:ユーロ/スイスフラン 日足

(出所:米国FXCM)
■1.2000フランを割り込んでしまったときはどうトレードする?
確かに、SNBがユーロ/スイスフランの1.2000フラン防衛の方針を維持している限り、そこに賭けてみてもいいのかもしれない。一方、鈴木さんはリスクシナリオとして1.2000フランを割り込んでしまった場合のトレード戦略についても話してくれた。
「仮にユーロ/スイスフランが1.2000フランを割り込んでしまった場合、ストップをつけて急落したところを買うのはアリかもしれません。
1.2000フランを割り込んだ場合、再び1.2000フランに戻してくるか、そのまま放置されるのかは判断が難しいのですが、現状でのSNBのスタンスなどを考えると、それなりの手を打ってくると考えるからです。
ただし、1.2000フランを割った段階でSNBが再び1.2000フランを死守すると言っても、SNBに対する市場の信認が低下してしまっている可能性がありますので、素直にユーロ高・スイスフラン安とはならないこともあり得ます」
【参考チャート】
●FXチャート&レート:ユーロ/スイスフラン 日足

(出所:米国FXCM)
こちらは鈴木さんの中ではリスクシナリオということだが、ユーロ/スイスフランが1.2000フランを割り込んだ場合の戦略の1つとして検討してみてはどうだろう。
実際にユーロ/スイスフランを取引…
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