■為替相場の方向感の喪失は、材料の出尽くしから
相場が難しくなってきました。
2015年1月は、米ドル/円はレンジ相場の中に入り込んでしまいましたが、ユーロや豪ドルなどが継続的に下落するというトレンドができていました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
しかし、ここに来て、為替市場全体に方向感がなくなってきました。原因は、ひと言で言えば材料出尽くしでしょう。
■米国は、引き続き2015年6月利上げ説が有力
米国は、2015年6月頃から利上げを開始するのではないかというのが、大方の見方になっています。
ここのところ消費者物価が上げ渋っているので、利上げが先送りになる可能性に言及するFRB(米連邦準備制度理事会)関係者も出てきてはいますが、それでもまだ6月利上げ開始説が有力です。
これが前倒しになる、あるいは先送りになるような展開になってくると、米ドル相場も動き出すことになると思いますが、今のところ、そうした材料は見当たりません。
明日2月6日(金)、1月の米雇用統計が発表されますが、出た瞬間は市場も反応すると思うのですが、米ドルの方向性を決めるまでにはならないでしょう。
そういう意味では、米ドルの行方も少し不透明になってきました。
■日銀の量的・質的緩和追加策はネタとして古くなってきた
日本に関しては、日銀の量的・質的緩和追加策が発表されて、3カ月以上経ったので、ネタとしては古くなってきました。
【参考記事】
●金融市場に衝撃が走った3つの要因とは?ドル/円は年内に120円まで上昇の可能性(2014年11月6日、今井雅人)
●「10.31ショック」は衆議院解散より影響大!米ドル高よりも円安が目立つのはなぜ?(2014年11月13日、今井雅人)
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による日本株買い・円売り、日銀によるETF(上場投資信託)買いは継続的に出ていますが、期待感が先行していたために、株安や円高に向かうことを防止することには貢献しているものの、相場を持ち上げるだけの決め手とはなっていないようです。
(出所:株マップ.com)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
■ECBの量的緩和も織り込まれてしまった
ユーロに関しては、ECB(欧州中央銀行)による量的緩和策の発表も市場にほぼ織り込まれてしまった感があります。
それは、たとえば、IMM(国際通貨先物市場)のユーロ/米ドルのポジションが、かなりショートになってきていることにも表れています。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
■ECBからの直接の資金調達が難しくなったギリシャ
ギリシャの急進左派連合(Syriza、シリザ)は、緊縮財政に反対して政権を取り、ギリシャはユーロを放棄するかもしれないという懸念が世界中に広がりました。
しかし、実際に政権を取ると、さすがに現実路線に走らなければいけないので、EU(欧州連合)諸国と妥協案を探れないかという方針に出てきました。
これで、極端なことにはならなそうだという安心感が広がり、ユーロが一気に買い戻される展開になりましたが、ギリシャ救済に伴う公約を遵守する同国政府の姿勢に懸念が生じたという理由で、ECB(欧州中央銀行)がギリシャ国債に対する適格担保ルールの適用除外を停止することを決めたと発表しました。
今まではギリシャ国債を特例としてオペの担保として受け入れるとしていたことを停止するということで、これでギリシャはECBからの直接の資金調達が難しくなってしまいました。
先行きはどうなるか、またはっきりしなくなってきたわけで、投資家も決め打ちがしづらくなってきたということです。
原油価格も一時…
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