■2015年はギリシャのデフォルト問題もテーマのひとつに
そして、2015年といえば、ギリシャのデフォルト問題も忘れてはならないテーマのひとつだ。
これは、1月25日(日)に実施された総選挙で、野党の急進左派連合(Syriza、シリザ)が、サマラス首相率いる与党、新民主主義党(ND)を破って勝利したことに始まる。
【参考記事】
●ギリシャは借金を踏み倒すのか!? 反緊縮派・急進左派連合圧勝でユーロ急落
そもそもギリシャは、2009年10月の政権交代をきっかけに、ユーロ加盟の条件である、名目GDP比の財政赤字について、虚偽の発表を行っていたことが発覚…。
これを受けて、ギリシャはデフォルト危機に陥ったものの、厳しい緊縮財政を条件にEU(欧州連合)とIMF(国際通貨基金)から、2010年5月と2012年2月の2回に渡って、総額2400億ユーロに及ぶ支援を受けていた。
そして、今回の総選挙では、その緊縮財政路線の是非が争点となっていたのだが、「反緊縮財政」を掲げる急進左派連合(Syriza)が勝利したことで、国民が緊縮財政政策にノーを突きつけたわけだ。
その後、有利な条件で支援を受けたいチプラス首相率いるギリシャ側と、あくまで緊縮財政路線の継続を条件とするEU側との間で、支援の延長について交渉が繰り返し行われたものの合意には至らず…。
【参考記事】
●土曜日の会合でギリシャ支援延長ならず! ギリシャ破綻なら、ユーロ相場はどう動く?
結局、ギリシャは資本規制を導入し、銀行はすべて休業という事態となったほか、6月末となっていた期限内にIMFへの債務を返済することができず、事実上のデフォルト状態に陥ることとなった。
【参考記事】
●ギリシャが資本規制導入、銀行は休業! 週明けの為替はユーロ全面安+円全面高!
■国民投票は再び「ノー」も、ギリシャはデフォルトを回避
さらに、7月5日(日)には、ギリシャの緊縮財政策の是非を問う国民投票が実施されたのだが、「反対」が「賛成」を大きく上回る結果に…。
ここでも、ギリシャ国民は、EU側が示していた緊縮財政策にまたしても「ノー」を突きつけたのだった。
【参考記事】
●ギリシャ国民投票は驚きの「ノー」!危機的状況だが、ユーロ下落も案外平穏?
この国民投票の結果により、チプラス首相は民意を盾にさらに強硬な姿勢で交渉に臨んでくることが予想され、ギリシャのユーロ圏離脱の可能性がさらに高まるかに思われた。
ところが、ここから急転直下、事態は数日で一気に進展することになる。
【参考記事】
●ギリシャ支援はまたしても合意ならず…。信用失墜でEU側は新たな条件を要求!
ギリシャは、EUから新たな金融支援を受ける条件となっていた財政改革案を提出。その内容は驚くことにEU側の要求をほぼ受け入れるものとなっていた。
さらに、これまでの経緯からギリシャが財政改革を本当に実行できるのか、疑問視する声が挙がる中、EU側はギリシャに対して財政改革案の法制化を要求。
これについてもギリシャ側が受け入れたことにより、7月12日~13日にかけて開催されたユーロ圏首脳会議にて、ギリシャへの金融支援が決定。ギリシャのデフォルトは回避され、ユーロ圏にも留まることとなった。
■ギリシャ問題で大揺れでもユーロは底堅さを示す
ギリシャをめぐって、これだけ短期間にユーロ圏を震撼させる出来事が起きたのだから、ユーロの下落も相当だったのではないかと思われた人もいるはず。では、ここで、ユーロの動きを見てみよう。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 週足)
2015年前半は、ギリシャ問題でユーロ圏は揺れていた。とくに2015年6月から7月ごろにかけては、ギリシャ支援合意に向けて、毎週のようにユーロ圏財務相会合が開催され、ギリシャ国民投票が実施されるなど、さらに大揺れとなっていた。
ところが、同時期のユーロ相場を見てみると大きく売られるような動きにはなっていなかった…。
以下のユーロ/米ドルのチャートもご覧いただきたい。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 週足)
こちらを見てもらうとわかるように、2015年6月から7月にかけて、ユーロ/米ドルは下落するどころか、むしろ底堅さを示していたことがわかる。
つまり、ギリシャ問題で大揺れに揺れたイメージに反して、その最中に、ユーロはそれほどは売られていなかったというわけなのだ。
ところで、2015年は原油相場が大きく下落したことも、金融市場で注目された…
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