■日本企業の社内レート変更が米ドル/円の上値を抑える
しかし、この米ドル全面高の流れの中、米ドル/円の戻りは限定的。
その要因のひとつが本邦企業の米ドル/円の社内レートの変更。
多くの日本企業では、今年度(2016年度)の米ドル/円の社内レートを大幅に下方修正しています。105円のところも増えてきていますが、110円に設定している企業も多数。
そうした企業にとって、今回の米ドル/円の上昇は朗報。
結果、110円台は本邦企業から断続的に米ドル売り注文が出され、米ドル/円の上値を抑える材料となっています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
加えて、上記のように株が軟調な展開、つまりリスクオフの環境下では、資源国通貨を筆頭にクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)は軟調に推移する傾向があります。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
この環境下では米ドル/円の上値も限定的で、110~111円での戻り売り。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
■豪ドル/米ドルは0.7ドル割れ、豪ドル/円は75円へ続落中
大きな戻りもなく続落しているのがこのコラムで注目の豪ドル。
【参考記事】
●豪ドルはなぜ、急落しているのか? 豪州はゼロ金利へ向かっているとの予想も!?(5月12日、西原宏一)
株が軟調な環境下では、リスクアセットである豪ドル/円は軟調。上値が徐々に重くなってきており、こちらも75円に向けて下落中。
(出所:CQG)
ただ、米国の6月利上げの可能性が台頭してきた中では、注目は豪ドル/米ドルに。
FRBが利上げ方向、RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])が利下げ方向であれば、必然的に豪ドル/米ドルは軟調に。
豪ドル/米ドルは200日移動平均線が0.7258ドルに位置しており、豪ドル/米ドルをサポートしていましたが、そのレベルを抜けつつあり下落余地が拡大。
豪ドル/米ドルは0.7000ドル割れに向けて続落中。
(出所:CQG)
じわじわと軟化を続けている豪ドル/米ドル、豪ドル/円の動向に注目です。
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