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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

豪ドルはなぜ、急落しているのか?
豪州はゼロ金利へ向かっているとの予想も!?

2016年05月12日(木)17:35公開 (2016年05月12日(木)17:35更新)
西原宏一

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■米ドル/円は105円台到達で調整局面入り

 みなさん、こんにちは。

 「上海合意」(※)による米ドル高是正がウワサされる中、日本のゴールデンウィーク中に米ドル/円は一時、105.54円まで急落しました。

(※編集部注:「上海合意」とは2月に開催されたG20(20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)において交わされたとマーケットでウワサされていること)

【参考記事】
新年度に入りドル/円はすでに5円下落! 安倍首相は消極的も介入はあり得るのか?(4月12日、西原宏一&松崎美子)
上海合意で「株高・資源高・米ドル安」が進行中だが今後の狙いはユーロ/円の上昇(4月21日、西原宏一)

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足

このコラムでご紹介してきたとおり、米ドル/円は105円が最初のターゲットであったため、いったん調整局面入り。確認になりますが、米ドル/円の105~106円がいったんのサポートになる背景は下記のとおり。

【参考記事】
行き詰まったアベノミクス。ヘッド&ショルダー完成のドル/円は105円台へ下落の公算(2月12日、西原宏一)
4月以降、国内は円安材料満載。それでもドル/円が105円へ下落する展開はある?(3月31日、西原宏一)

 まず、米ドル/円の115円はヘッド・アンド・ショルダーのネックライン。2015年6月高値125円から115円の値幅は10円です。

 米ドル/円は115円のネックラインが決壊しているため、下値のメドとしては、115円から10円下げて105円になります

米ドル/円 月足
米ドル/円 月足

(出所:CQG)

 そして、上海合意で米ドル高是正が決められたと仮定すると、調整幅としては最低15%。米ドル/円は2015年6月高値水準となる125円からの15%は106円20%だと100円となり、まず最初のターゲットである106円に到達しました。

米ドル/円 月足
 
米ドル/円 月足

(出所:CQG)

 さらに、アベノミクス以降、米ドル/円をサポートしてきたのが200週移動平均線。

 この200週移動平均線は現時点で105.38円に位置しており、今回の局面でもこの200週移動平均線が米ドル/円をサポートした形です。

米ドル/円 週足
米ドル/円 週足

(出所:CQG)

 上記のように、米ドル/円は105円台という最初のターゲットに到達。結果、米ドル/円は調整局面入りとなり、当面105~110円でのレンジ圏内でのもみ合いとなる公算が高まっています。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:CQG)

 ただ、中期の円高傾向は変わらず、調整が終了すると再び円高の流れに戻ると想定しています。

米ドル/円 週足
米ドル/円 週足

(出所:CQG)

■RBAの警告どおり、豪ドルは下落開始

 一方、今月(5月)に入って下げ足を速めて来たのが豪ドル。

このコラムで何度かご紹介してきたとおり、RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])が何度か警告(豪ドル高をけん制したコメント)したマーケット環境下では時間を置いて、豪ドルは急落するという傾向がありますが、今回もまさにそれが再現された展開になっています。

【参考記事】
イースターに向けて調整相場入り。通貨高牽制など売り材料多い豪ドルは急落警戒!(3月24日、西原宏一)

 豪ドル/米ドルが0.7000ドル台レベルを割り込むようなマーケット環境下でのRBAのコメントは、「金融政策は適切」といったものでした。

 その後、鉄鉱石価格の上昇とともに豪ドル/米ドルが0.7500ドルを超えたあたりでは、RBAからの通貨高(豪ドル高)けん制コメントが増えてきます。

 最後はRBAのスティーブンス総裁が通貨高けん制コメントをしたものの、豪ドル/米ドルの上昇は止まらず、一時0.7835ドルまで駆け上がります。

豪ドル/米ドル 日足
豪ドル/米ドル 日足

(出所:CQG)

 オーストラリアの銀行の友人によれば、この局面ではまだRBAが利下げをすることを決断していなかったとのこと。

 なぜなら、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げが迫っていたからです。

 ところが上海合意のもと、「FRBは利上げを急がない」という流れの中、米国の利上げはどんどん後ずれしています。

 鉄鉱石価格も反落に転じる中、5月3日(火)に、他の中央銀行の決定を待たず、RBAは通貨高抑制を主とした利下げを決定します。

鉄鉱石価格 日足
鉄鉱石 日足

(出所:CQG)

 この決定により、豪ドル/米ドルは急落し、あっという間に0.7300ドルまでの下落を演じています。

豪ドル/米ドル 日足
豪ドル/米ドル 日足

(出所:CQG)

 ここまでは、RBAがけん制コメントを繰り返した局面での豪ドル/米ドルの通常の流れとも言えます。

 ところが今週(5月9日~)に入って、RBAのさらなる利下げを予想する銀行が増えてきており、豪ドル/米ドルが続落する可能性が高まってきました。

 まず、5月11日(水)には米大手銀行がRBAのさらなる利下げを予測。

 その内容は「RBAは年内1.500%まで政策金利を下げる」、というものでした。加えて、来年、2017年には1.00%まで連続利下げをするのではないかというのです。

 そして、他の欧州系銀行が、RBAは他の中央銀行同様に「ゼロ金利への道を歩み始めたのではないか?」とのレポートまで出す状態。

 他の中央銀行の動向にもよりますが、RBAが実際、1.00%へ政策金利を下げると仮定すれば、豪ドル/米ドルは0.65ドル方向へ続落する可能性が高まります

豪ドル/米ドル 日足
豪ドル/米ドル 日足

(出所:CQG)

■豪ドル安進行で、ユーロ/豪ドルに妙味

 そして、この中で注目されるのは豪ドル/米ドルよりも、豪ドルクロス(豪ドルと米ドル以外の通貨との通貨ペア)

 過去数年に渡り、米ドル/円やユーロ/米ドルでは、日銀やECB(欧州中央銀行)が緩和合戦を繰り広げ、通貨安が進んでいましたが、このところ、中央銀行の緩和策が功を奏せず、円やユーロに対し、徐々に米ドル安が進んでいます。

 米ドル/円やユーロ/米ドルが米ドル安に傾く中、豪ドル/米ドルが「豪ドル安・米ドル高」に進むのであれば、豪ドル/円やユーロ/豪ドルでの豪ドル安の進行のほうがトレード妙味があると言えます。

ユーロ/豪ドル 日足
ユーロ/豪ドル 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/豪ドル 日足

 鉄鉱石価格が反落する中、RBAによる連続利下げがウワサされる豪ドル/米ドルの下落余地は拡大。

 豪ドル/米ドルはもちろん、豪ドル/円やユーロ/豪ドルといった豪ドルクロスでの豪ドル安の動向に注目です。


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