ザイFX! - 初心者必見のFX総合情報サイト

西原スーパーバナー
----年--月--日(-)日本時間--時--分--秒
西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

2025年も最強通貨はスイスフランで最弱通貨は円。2026年のスイスフラン/円は220円へ! 年末年始の米ドル/円は介入警戒感で下げそうだが、年を通じては円安で165円へ

2025年12月25日(木)14:16公開 (2025年12月25日(木)14:16更新)
西原宏一

【ヒロセ通商】ザイFX!限定 最大11000円キャッシュバック実施中!

2025年も最強通貨はスイスフラン、最弱通貨は日本円。スイスフラン/円は大台の200円目前で、2026年は220円へ

 みなさん、こんにちは。

 早いもので、今年(2025年)も残りわずか。本コラムも年内最後の投稿となりました。

 そこで、年初来の主要通貨の対米ドル騰落率をチェックしてみましょう。

年初来の主要通貨の対米ドル騰落率

 米ドル/円中心に為替を追っている方は勘違いしやすいのですが、今年の為替相場は圧倒的な米ドル安で終わっています。

 特に、このコラムで頻繁に取り上げる最強通貨スイスフランは今年も続伸。対米ドルでは15%も急騰しています。ユーロも13%程度急騰した一方、円は年初の水準とほぼ変わらず。

 その結果、スイスフラン/円は32円も急騰しています。スイスフラン/円の年足を見てみましょう。

 2020年から続伸しており、2023年には33円急騰しています。2018年の安値は108円ですので、過去7年で90円も暴騰しています。

スイスフラン/円 年足
スイスフラン/円 年足チャート

(出所:TradingView

 為替市場に限らず、相場はきれいなトレンドを描いて方向性が明確なほど収益を上げやすいもの。

 シンプルにいえば、このスイスフラン/円の急騰に遅れて参加しても、値幅が強烈なので、相場に乗れる可能性が高いです。

 スイスフランがなぜ強いかということに関しては、このコラムで頻繁に取り上げているため、今回は割愛しますが、直近ではSNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])がマイナス金利への移行に関して否定的であることが挙げられます。

【※関連記事はこちら!】
【2026年のFX予想】年内200円超え視野のスイスフラン/円やユーロ/円に注目! 米ドル/円は結局165円方向で、急騰すれば介入警戒。急騰中の銀はリスクオフの前兆かも(12月15日、西原宏一&叶内文子)
米ドル/円は片山シーリングの160円に向けてじり高に。スイスの関税が39%から15%に引き下げられる可能性が浮上。最強通貨スイスフラン/円はついに200円が視野に!(11月13日、西原宏一)

 これだけのスイスフラン高に見舞われると、スイスの輸出企業は苦しくなりますが、輸出品を付加価値の高い製品に移行することに成功しており、スイス企業はスイスフラン高に対してある程度耐性があります。

 一方、スイスフラン高を止めるために、SNBがマイナス金利への移行を決めれば、こちらもスイスにとって重要な銀行ビジネスへの負担が大きくなります。

 結果、現在のSNBはマイナス金利への移行に関しては消極的で、緩やかなスイスフラン高は容認するスタンス。そのため、来年(2026年)もスイスフラン高は継続する可能性が高いです。

 僕のメルマガ読者はスイスフランになじみがあるため、スイスフランへの参入は慣れたものですが、日本の個人投資家の方はスイスフランにあまり馴染みがないため、あまり取引されません。

 ただ、これだけの強烈な上昇トレンドを描いている通貨もあまりないため、より多くの日本の個人投資家の方に、来年は220円を目指すスイスフラン/円にも注目していただきたいと考えています。

2025年の米ドル/円は行って来い相場で、パフォーマンスを上げるのが難しかった

 一方、個人投資家の主戦場である米ドル/円相場ですが、今年は行って来いの相場となっています。

米ドル/円 週足
米ドル/円 週足チャート

(出所:TradingView

 今年は157.20円で始まったものの、日米金利差縮小観測や、トランプ関税ショックなどで春先までは米ドル安・円高へ。特にドイツがゲームチェンジャーとなって通貨高を牽引したユーロ/米ドルの急騰、つまり米ドル安が米ドル/円での米ドル安を誘引した流れとなっています。

【※関連記事はこちら!】
ユーロは「ゲームチェンジ」! ドイツの劇的な財政改革案を受け、ドイツ債が過去35年で最大の下落幅となり、ユーロ買いで反応。米ドル/円はトランプの円安政策批判で続落(3月6日、西原宏一)

 米ドル/円が一時140.00円割れの139.89円まで急落したのが、4月22日(火)。

 ただ、その後の米ドル/円はトランプ関税も当初悲観したほどのショックはないということで、反発を開始。秋には高市総裁誕生もあって円安に転じ、米ドル/円はほぼ年初のレベルまで押し上げられています。

 こうした「行って来い相場」は、明確な米ドル安を実現した他通貨と比較すればパフォーマンスを上げるのは難しい

 ただ、短くはあるものの、トレンドが3か月ほどは続くため、そこをうまく取っていきたいところ。本稿執筆時点の米ドル/円は155円台後半で推移しています。

年末年始の米ドル/円は米ドル安や介入警戒感で下げやすいものの、2026年を通して165円へ

 高市政権の積極財政は、円安という副作用を伴います。

 これは主に、大規模な財政政策が市場に財政悪化のリスクとインフレ懸念を強めるためです。この円安は輸入インフレを引き起こし、国内から批判の声が高まる可能性があります。

 その対応としては、為替介入が挙げられます。

 ただ、スコット・ベッセント米財務長官は「日銀が適切な金融政策(利上げ)を継続することが、為替の安定や将来的な為替介入の容認の条件となり得る」と頻繁にコメントしています。同長官は、日銀が金融正常化を進めれば自然と円高になるとの見解を示しているわけです。

 よって、当局にとっては介入の前に日銀が利上げをする必要があります。

 そのため、日銀は12月18日(木)に政策金利を30年ぶりの高水準となる0.75%に引き上げました。

 ただ、利上げにもかかわらず円安は沈静化せず、一時157.78円まで急騰。

 このタイミングで、片山さつき財務大臣や、三村財務官は介入に対しての警告を一気に引き上げ、いつでも介入に入れる姿勢を示しました。

 これで当面、米ドル/円の上値は抑えられる展開となりました。

 一方、金や銀が高騰。銀がこの1年でほぼ2倍になり、金以上の勢いで上がっています。

米国ではまだインフレが高いにもかかわらず、来年は2回程度の利下げが織り込まれています。これは、政府の借金のために金融政策がゆがむかも(財政支配)という不安を引き起こすこととなり、「現金の価値が下がる」と考えられやすい。

 こうしたときに選好されるのが、金・銀といった現物資産となります。

 通貨では避難通貨であるスイスフランが選ばれやすい。

 結果、年末年始は米ドル/スイスフラン、ユーロ/米ドルを筆頭に米ドル安が進行していること、そして米ドル/円の上値は介入が控えているため、米ドル/円でも米ドル安が進むと想定しています。

 ただ今年同様、米ドルも弱いが円も弱いという状況が続いており、円高は限定的。年央に向けては、再び円安となり、米ドル/円は160円を超えてきて165円程度まで反発すると想定しています。

米ドル/円 月足
米ドル/円 月足チャート

(出所:TradingView

最強通貨であるスイスフラン/円が続伸し220円へ、ユーロ/円も200円がターゲットになると想定しています。

 来年の為替相場も活況となり、トレンドが明確な相場となるといいですね。

 本年も本コラムをご愛読いただきありがとうございました。来年もよろしくお願いします。良い年をお迎えください。


【ザイFX!編集部からのお知らせ】

 ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)です。

西原宏一投資戦略メルマガ「トレード戦略指令!」

「トレード戦略指令!」10日間の無料体験期間がありますので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。

人気のザイFX!限定タイアップキャンペーンをPickUp!
FX初心者のための基礎知識入門
ザイ投資戦略メルマガ トレーディングビュー記事 キャンペーンおすすめ10
ザイ投資戦略メルマガ トレーディングビュー記事 キャンペーンおすすめ10
『羊飼いのFXブログ』はこちら
↑ページの先頭へ戻る
松崎美子