■日銀が決定した3つの金融緩和強化策
日銀は、7月29日(金)のランチタイムに金融政策決定会合を終了。「金融緩和の強化について」との声明文を発表しました。
まず、ETF(上場投資信託)買入れ額の増額(賛成7反対2)を決定。ETFについて、保有残高が年間約6兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行う(現行の約3.3兆円からほぼ倍増)こととしました。
また、企業・金融機関の外貨資金調達環境の安定のための措置(全員―致)として、成長支援資金供給・米ドル特則を240億ドル(約2.5兆円)に拡大する(現行の120億ドルから倍増)ことを決定。
米ドル資金供給オペの担保となる国債の貸付け制度の新設も表明しました。
■サプライズはなく、最小限の追加緩和に留まった印象
追加緩和がETFの増額のみに留まったほか、一部で期待されていた3次元緩和以外の「サプライズ」もなく、「最小限の追加緩和」との印象は否めないものとなりました。
市場は、7月29日(金)早朝から「相場自身がある意味壊れてしまったかのような乱高下を繰り返す」なか、105.738円の高値まで買われた直後に102.663円まで急落。

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その後は、日経平均が300円を超える下落からプラス圏まで買い戻されたこともあり、103円台後半まで下値を切り上げるといった荒い動きとなりました。

(出所:株マップ.com)
■101円台まで売り込まれて取引終了
ただ、NY市場に入ってからは、4-6月期米GDP速報値が市場予想を大幅に下回る弱い数字となると、一気に売りが加速。米長期金利の急低下とともに、101.973円まで売り込まれて週末の取引を終えています。

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■8月に入り、日本国債市場が大混乱!
ところが、今週(8月1日~)に入ってから、日本国債の市場が大混乱となりました。
これまで海外のファンド勢中心に本邦勢の米ドル調達コストが上昇したことで、ベーシススワップ(※)が急拡大していたものが、日銀が米ドル特則を倍増したことを受けて、そのコストが急低下。
(※編集部注:「ベーシススワップ」とは異なる変動金利同士を交換する取引のこと。同じ通貨同士で行なわれるものと、円と米ドルなど異なる通貨間で行われるタイプのものがある)
割安感から、かなりのロングを積み増していた向きが、一気に投げ売りに出たことで日本国債が急落。円金利も急上昇という事態になったワケです。

(出所:CQG)
また、日銀が声明文で最後に表明した「次回の金融政策決定会合において、経済・物価動向や政策効果について総括的な検証を行う」ことがさまざまな憶測を呼ぶことになると、「国債買取りの限界が示されるのではないか」といった不安が国債市場に蔓延した結果だとも言えます。
■米ドル/円は、先週の安値を割り込む展開に
為替市場では、今週に入って急速に縮小された「日米金利差」が意識されるなか、米ドル/円は目先の下値メドとされていた先週末7月29日(金)の安値101.973円を下抜けると、断続的にストップロスを巻き込む形で下げ足を速め、一時100.677円まで売り込まれる展開となっています。

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■レンジ相場が続きつつ、気づいたら円高に…
今後の相場を考えると、目先は、週末8月5日(金)の7月米雇用統計などを受けた米長期金利の動向に左右されることになるとは思います。

(出所:CQG)
ですが、すでに100円という大台にあまり意味はなく、どちらかと言うと、2013年5月に103.74円まで上昇したあと約半年間、98円あたりを挟んで、上下5円程度のレンジ相場が続いたような相場展開をイメージしています。

(出所:ヒロセ通商)
レンジ相場が続きつつも、気づいてみたら少し円高になっていたといった展開になるのではないかと考えています。
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