■ ECBの追加緩和も賞味期限切れ…
中央銀行の追加緩和効果が薄れているという意味では、ECB(欧州中央銀行)も同じ。
最初のQE(量的緩和策)が行われた頃のユーロ/米ドルの下落は強烈で、1.4000ドルレベルから1.04ドル台ミドルまで暴落しています。
ただその後、ECBは何度かの追加緩和を実施しますが、その効果は限定的となり、マーケットが期待するパリティ(=1.0000ドル)割れは実現せず、ユーロ/米ドルは長期に渡って安値圏で膠着しています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 月足)
■かつて安値圏での長期もみ合いから急騰した相場が…
ここで、ユーロ/米ドルの長期のトレンドを確認します。
ユーロ/米ドルは2000年10月に0.8230ドルという安値を示現。その後、何度か反発の動きを見せますが、長期に渡って安値圏でのもみ合いが続きました。
ユーロはその誕生移行、一方的な下落が続いたため、なかなか本格的な反騰に移行できなかったわけです。
そして2002年4月、ようやくもみ合いを脱し、急騰を演じています。
この間約1年半…。
(出所:CQG)
■長期サポートラインとボリンジャーバンドの-1σがサポート
今回のユーロ/米ドルは2015年3月に1.0458ドルの安値に到達。
この1.0458ドルというレベルは、0.8230ドルからの強烈な長期サポートラインを明確に割り込めなかったことを意味します。
また、ユーロ/米ドルの月足チャートに通常より非常に長い200カ月移動平均線をセンターラインとしたボリンジャーバンドを描くと、このところのもみ合いはボリンジャーバンドの-1σにサポートされていたことがわかります。
(出所:CQG)
(※編集部注:上記チャートではボリンジャーバンドを掲載している。ボリンジャーバンドでは、月足であれば、20カ月移動平均線が用いられるのが一般的だが、今回は200カ月移動平均線を使っている)
■長期もみ合いからの反発が再現されるか?
2015年3月に1.0458ドルの安値をつけてから約1年半が経過する間、ギリシャ債務問題や、Brexit(英国のEU離脱)で英ポンド/米ドルが急落するといった状況においても、ユーロ/米ドルは底堅い動きを見せています。
そして、前回同様、1年半という長期に渡る安値圏でのもみ合いを経て、ユーロ/米ドルは、2000年代前半のように反発の兆しを見せています。
ユーロ/米ドルの反発の要因としては、米国の利上げ観測後退による米ドル安がそのカギを握ると考えています。
1年半近く安値圏でもみ合いを演じてきたユーロ/米ドル。
米国の経済指標も徐々に悪化し、米ドル高トレンドも調整に入る中、ユーロ/米ドルの反発に注目です。
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