■ドルインデックスの保ち合いが見られる
また、米ドル全体については、ドルインデックスの保ち合いが観察され、円高一服が生じやすい環境だと思う。
ユーロ/円の保ち合いが見られるように、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)経由の円高圧力があっても、それが加速する現象は観察されていないから、圧力は減少しているものと思われる。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)
要するに、ドルインデックスの保ち合いは、主要外貨の安定を意味し、ユーロなどの主要外貨が安定すると、クロス円における円高リスクが限定されるから、米ドル/円も底打ちしやすいと考えられるのだ。
大局観に立つと、ドルインデックスは、2015年3月の高値からずっと大型の保ち合いを形成してきた。そこから計算すると、もう1年半近い時期が経過したので、そろそろブレイクし、次の方向へ向けてトレンドが進行してもおかしくない。
この場合、カギを握るのは米金融政策ではなく、むしろ日欧当局のスタンスではないかと思う。
(出所:CQG)
■米利上げ時期よりも、EUや日銀の金融政策に注目
たしかに、米早期利上げ、要するに2016年9月利上げの有無は肝心だ。ただし、すでに利上げサイクル入りした米国に比べ、EU(欧州連合)と日本の金融当局が直面する問題は多く、また、その政策が米ドル高トレンド継続の有無に大きなインパクトを与えるとみている。
2014年後半から2015年3月まで見られたドルインデックスの急伸は、米金融政策とEU、日本の金融政策のかい離が大きな推進力であったとよく指摘されてきた。
しかし、詳しく見てみると、米ドルを押し上げるインパクトとしては、米利上げ効果よりも、EUや日本の量的緩和政策の方が、より影響力が強かった。
(出所:CQG)
したがって、これから米ドル高基調が強まるかどうかの材料としては、米利上げの時期ではなく、EU、日銀の金融政策継続、拡大の有無がより重要だと言える。
この意味でも、より長いスパンでの米ドル/円の行方を占うにあたっては、今晩のジャクソンホールの会合、イエレン議長よりも黒田総裁の話が重要だと思う。
■「米ドル高かどうか」よりも「円安かどうか」が重要
当然のように、肝心の二人が曖昧な発言に終始、まったく明白なメッセージを出せない可能性も大きい。
しかし、今後の市況を考えると、中短期では米金融政策、中長期ではEU、日本の金融政策がカギを握るという理屈は変わらないだろう。
要するに、長い目で見ると、これからは「米ドル高かどうか」ではなく、「円安かどうか」ということが、より重要な視点であることを強調しておきたい。
市況はいかに。
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