■ECBでのテーパリング議論はやはり時期尚早だった
前回のコラムでは、10月20日(木)のECB(欧州中央銀行)定例理事会で、ここのところテーパリング(※)を検討しているのではないか? という憶測が市場に流れていることに関して、「欧州経済は依然として下振れリスクを抱えているため、テーパリングの議論は時期尚早。ECBは、この可能性について否定的な見解を示す可能性が高いのではないか」とお伝えしました。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
【参考記事】
●ECBのテーパリングは時期尚早とみる。一目均衡表で主要通貨ペアを分析すると…(10月20日、今井雅人)
実際には、ドラギECB総裁が定例理事会後の記者会見で、「量的緩和の延長は議論しなかった」と発言したことを受け、いったんはユーロ/米ドルの買いで反応したものの、ドラギ総裁は直後に「テーパリングの議論もしなかった」ことにも言及。
今度は一転して、ユーロ/米ドルの売り浴びせという反応となりました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
■売り込まれたユーロ/米ドル。戻りも限定的…
その後もユーロ/米ドルは、米長期金利の上昇などにつれて下落し、10月25日(火)には、一時1.08512ドルまで売り込まれています。
ドラギECB総裁が講演で、「このような低金利を過度に長期間続けるのは良くない」との見解を示したことが伝わり、ショートカバーが強まる場面もみられましたが、戻りも極めて限定的なものに留まりました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 1時間足)
■米長期金利は、高止まり状態に
一方で、米長期金利は、かなり高止まりとなっています。
ベンチマークとなっている米10年債利回りは、10月17日(月)に一時1.8119%まで上昇したあと、いったんは調整の動きとなっていましたが、製造業PMIやサービス部門PMIなど、普段はそれほど重要視されていない数字が予想を上回る強い数字となったことを受けて、再び上昇。
本日10月27日(木)のアジア時間では、一時1.8091%まで上昇しています。
(出所:CQG)
■米ドル高地合いは続くだろう。英ポンド/米ドルも戻り鈍い
金利先物価格から算出される直近のFFレート予想織込み度では、12月14日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げを72.6%まで織り込んだ状況となっており、このところの米ドル高を後押ししているようです。
英ポンド/米ドルも、来週11月3日(木)のMPC(英金融政策委員会)を控えて追加緩和観測なども台頭しており、戻りの鈍い相場展開が続いています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足)
やはり、米国の金利引き上げ観測が高まる中では、全般的な米ドル高の地合いは続くと考えています。
ただ、ショートカバーの動きは急なことが多く、入り方を間違うと長い間、我慢しなければならなくなる可能性もあります。戻りをしっかりと見極めて売っていきたいところです。
さて、米ドル/円ですが…
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