このように、市場のウワサも含めて、今年(2016年)は日銀絡みで相場が動くことが多かった。
日本の10年物国債利回り(長期金利)の推移を見ると、日銀がマイナス金利を導入したことを受けて、マイナス0.3%近辺まで一時低下。その後は持ち直したものの、0%近辺で推移し続けた。
【参考記事】
●東海東京証券・佐野一彦氏に聞く(1) マイナス金利政策はムダ。ドル/円90円台へ
(出所:Bloomberg)
■黒田総裁は見越していたのか!? 日米長期金利差は急拡大
これについては、日銀が政策どおりに日本国債を買い入れているからなのだが、とくに年末にかけてはマーケットへの影響が見られた。
それが、日米金利差の拡大だ。
11月9日(水)に実施された米大統領選挙でのトランプ氏のサプライズ当選後、米国債利回りが急騰したわけだが、通常であれば、これに連動して日本の国債利回りもある程度、上昇するはず。
ところが、以下のチャートをご覧いただくとわかるように、米大統領選挙でのトランプ氏当選以降、多少の上昇はあったものの、日本の国債利回りに大きな変化は見られなかった。先に紹介したように、日銀が10年物国債の利回りが0%程度で推移するよう、発表どおりの買い入れを行っているからだ。
その一方、トランプ相場で米国債利回りは急上昇したため、結果として、日米金利差が急拡大したのだ。
【参考記事】
●2週間で10円上げたドル/円、111円到達!“買い遅れ涙目”は多い。下げたら買い!(11月21日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:CQG)
こうした日米金利差拡大も材料視されて、米ドル/円は1カ月ほどでおよそ15円も急騰、日経平均も急上昇したわけで、これを見越していたのかどうかはわからないが、黒田総裁からみれば、「してやったり」といったところか。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
(出所:株マップ.com)
Brexitや米大統領選挙でのトランプ氏当選など、今年(2016年)はサプライズが多かっただけに、イマイチ印象は薄くなってしまったが、日銀は大胆に金融政策を変更してきたし、日高記事やヘリマネなど、今年は日銀に関するウワサで相場が動くことも多かったように感じる。
2017年、黒田総裁率いる日銀はどのような政策を打ち出してくるのだろうか? そして、悲願のインフレ率2%を達成することはできるのだろうか?
(「ザイFX!で2016年を振り返ろう!(4) 中国株暴落に原油反発、シン・ゴジラも…」へつづく)
(ザイFX!編集部・庄司正高&井口稔)
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