■アデア・ターナー氏の来日が話題に
直近のマーケットの話題はトランプ政権の動向に集中していますが、もうひとつ、マーケット参加者の注目を集めたのがアデア・ターナー氏の来日とシムズ理論。
今年(2017年)に入り、アデア・ターナーという人物がジョージ・ソロス氏とともに来日。安倍首相と麻生財務相、そして、黒田日銀総裁と会談しました。
アデア・ターナー氏は、英国FSA(Financial Services Authority=英金融サービス機構)の元長官。彼はヘリマネ(※)論を主張していることで有名です。
(※「ヘリコプターマネー」とは、中央銀行や政府が大量の貨幣を供給する政策のこと)
今年に入り来日した、英国FSA元長官のアデア・ターナー氏。ターナー氏はヘリマネ論を主張していることでも有名というが、安倍首相、黒田総裁とは何を話したのだろうか?
(C)Mint/Hindustan Times
そのため、彼はこの会合において、「日本の内需を盛り上げるためには、ヘリコプターマネー(以下、ヘリマネ)政策が欠かせない」と主張したのではないか?との報道が話題になっています。
昨年(2016年)も安倍政権では、ヘリマネ論が話題になりましたが、マネーの量を拡大してもなかなかデフレから脱却できない安倍政権は財政拡大に政策をシフトしつつあるとの憶測も。
■浜田内閣官房参与も同調? シムズ理論とは?
エール大学名誉教授で内閣官房参与の浜田宏一氏も、最近はシムズ理論に傾いているとの報道もあります。
シムズ理論とは、2011年にノーベル経済学賞を受賞したクリストファー・シムズ教授(以下、シムズ教授)が発表したもので、デフレ脱却には財政拡大政策が有効であるとされています。
米プリンストン大のC・シムズ教授は、日本の消費税増税後のデフレ圧力を念頭に、金融緩和を生かすためには財政支出拡大が必要と論じている。日銀はマイナス金利政策を続けているが、マイナス金利は政府の金利負担を減らす代わりに、家計など民間の金利所得を減らす。収益の減少を恐れる銀行は融資を渋るので、デフレ不況になる。それを回避するためには、政府が財政赤字にこだわらず財政支出を拡大すべきで、消費税率引き上げは脱デフレを達成した後に繰り延べるべきだという理論である。
シムズ教授は伝統的なケインズ理論ではなく、市場原理を重視する「新古典派」と呼ばれる学派に属し、データ分析に基づく実証を重んじている。新古典派が多数を占める米国学界への影響力は大きく、内閣官房参与の浜田宏一米エール大学名誉教授によると多くの経済学者が同調しつつある。
出所:産経新聞
2011年にノーベル経済学賞を受賞したクリストファー・シムズ教授。浜田内閣官房参与も最近はシムズ理論に傾いているとの報道もあるそうだ (C)AP/アフロ
そして、浜田内閣官房参与は来月(2月)初め、シムズ教授を日本に招く予定との報道も。
こうした政策は日本のデフレ脱却を後押しして、円安を誘引します。
結果、中期の米ドル高、円安の流れは変わらず。
(出所:Bloomberg)
直近はトランプ氏の米大統領就任式に話題が集中していますが、浜田内閣官房参与も注目しているシムズ理論にも注目。
マネーの量を拡大してもなかなかデフレから脱却できない安倍政権は財政拡大に政策をシフトしつつあるとの憶測も出ており、中期の米ドル高トレンド継続の米ドル/円動向に注目です。
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