■すべては大統領次第、政権内部からの反発も不安要因
しかし、すべてはトランプ米大統領次第です。これまでも、トランプ米大統領は世界中を驚かすような大統領令を連発しています。これは、選挙前に公言していたことばかりなので、驚くようなことはないという人もいますが、それは違うと思います。
多くの人は、選挙前にトランプ米大統領が言っていたことは、選挙に勝つためのリップサービスだったと思っていましたが、実際にこうして実行に移していることに驚きを見せているわけです。
すでに、難民やイスラム圏諸国からの入国制限は司法からストップをかけられました。政権内部からも批判が出てきています。関係者に根回しすることなく、唐突に行動に出ることに反発が出てきているわけです。
大統領就任以降、選挙に勝つためのリップサービスだと思われた公約を実際に実行。根回しのない唐突な行動に政権内部から批判も… (C)Alex Wong/Getty Images
こうしたやり方をすると、彼が推し進めようとしている経済政策も、議会を通すことが困難になってくるかもしれません。これも不安要因です。
■直接釘を刺されれば、米ドル/円は110円付近へ下落も
米ドル/円に関していえば、ポジションはまだ米ドルロングに傾いています。IMM(国際通貨先物市場)の投機筋のポジションを見ても、ピークよりは減ってはいるものの、依然として、米ドルロングのままです。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
そして、昨年、米ドルショートから米ドルロングに転換したところを見てみると、米ドル/円の水準は113円近辺だったのではないかと見て取れます。
(出所:Bloomberg)
つまり、今の米/ドル円のロングポジションの多くは、113円台よりも高いコストである可能性が高いです。
【参考記事】
●市場はリスクオンでNYダウは2万ドル台! 米ドル/円の上昇再開を阻む原因は何か?(1月26日、今井雅人)
日米首脳会談でトランプ米大統領から為替相場に直接釘を刺されれば、米ドル/円が110円あたりまで下落することは十分考えられます。
(出所:Bloomberg)
逆に何も出なかった場合、米ドル円はある程度上昇するとは思いますが、まだ不確定要素は残るため、一気に上昇していくことも難しいのではないでしょうか。
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