■トランプ政権「史上最大規模の減税」の財源は…?
ところで、4月26日(水)、トランプ政権は、新しい税制改正案の基本方針を発表しました。その内容は、以下のとおりです。
法人税率、および小規模事業者やすべての規模の共同経営会社を含むパススルー事業体(※)の税率の15%への引下げが盛り込まれました。また、米企業が海外に保有している利益、約2兆6000億ドルに対する1回限りの課税も提案しています。
(※編集部注:「パススルー事業体」とは、法人などの事業体そのものには課税されず、その構成員の所得に対して課税される制度を利用している事業体のこと。LLP(有限責任事業組合)などがこれに当たる)
さらに、源泉地国課税主義への移行により、企業の国外での所得に対する課税をなくす方針も示しました。
個人所得税に関しては、税率区分を現行の7から3に減らし、最高税率を現行の39.6%から35%に引き下げることを提案しています。
また、年間所得が20万ドルを超える個人への3.8%の純投資所得税のほか、代替ミニマム税(※)と遺産税を廃止することも示しています。
(※編集部注:「代替ミニマム税」とは、高額所得者が控除や優遇措置を利用して過度に節税することを抑制するために設けられている米国の課税制度。特別な計算方法により税額を計算し、それが通常の方法で算出された税額を上回った場合、一定の税額が加算されるしくみ)
トランプ政権は、「史上最大規模の減税」と胸を張っています。確かにそうかもしれません。
しかし、その財源も示されておらず、改正案の詳細も明らかになっていないので、市場の反応も鈍いです。
■政権誕生100日! オバマケア代替法案は、前進するかも?
その他、気になる話はいくつもあります。
いったん取り下げられたオバマケア代替法案ですが、反対していた一部の共和党議員(自由議員連盟所属議員)が賛成に回ることを表明しました。
これで、この法案は前に進むかもしれません。
誕生から、100日を迎えるトランプ政権。いったん取り下げられたオバマケア代替法案は、やっと前進しそうな雰囲気に。でもNAFTAの問題は、まだ揉めてそう。まだまだ前途多難かも… (C)Chip Somodevilla/Getty images
NAFTA(北米自由貿易協定)に関しては、とりあえず、終結させない方針となった模様ですが、離脱するのか? 妥協するのか? トランプ政権内で大議論になっているようです。
いずれにしても、4月29日(土)で、トランプ政権は誕生から100日目を迎えます。
【参考記事】
●利上げでも米ドル安の衝撃。自慢はするがトランプ政権は結局、何も前に進んでいない(3月30日、今井雅人)
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