■英ポンドきっかけの米ドル/円上昇
先週(6月12日~)の米ドル/円は慌ただしい展開でした。
FOMC(米連邦公開市場委員会)直前に発表された小売売上高とCPIが予想外に悪い数字となったことで109円割れへ。
ところが翌日(6月16日)になると上げ始めて押し目のないままに111.40円台へ。米国株、とくに注目していたナスダック総合指数はむしろ下げていて、米国債利回りも目立って上がっていたわけでもなく一見、不可解な上昇です。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
きっかけは英国のMPC(金融政策委員会)だったようですね。
金融政策自体に変更はありませんでしたが予想では「7対1」での据え置きだったのに対して実際には「5対3」と利上げ票が予想以上に多かった。
これをきっかけに英ポンドが買われ、英ポンド/円に引っ張られる形で米ドル/円も上昇したようです。

リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 4時間足)
このコラムでも何度か解説してきましたが、2016年前半からよく見られる英ポンド/円の動きが米ドル/円に影響を与える形ですね。
【参考記事】
●93年以来! 低水準の恐怖指数は何を意味する? 好材料多いユーロ/円が相場牽引!(5月15日、西原宏一&大橋ひろこ)
■金融緩和継続の円が売られる
あとは金融政策も影響したのかもしれないですね。
アメリカではFRB(米連邦準備制度理事会)が先週、6月13日(火)~14日(水)に開催されたFOMCで4回目の利上げを決定し金融引き締めサイクルを続けています。

(出所:FRBのデータを基にザイFX!編集部が作成)
ユーロ圏ではECB(欧州中央銀行)に対してテーパリング(※)観測が出てきましたし、ドイツのメルケル首相は5月に「ユーロは安すぎる」と発言しました。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
カナダからも利上げを示唆する発言が飛び出して、今後も金融緩和を続ける意思を明確にしている主要国は日本だけ。
円売りの思惑が再確認されているようです。そんな中、今週(6月19日~)、日本時間22日(木)早朝にニュージーランドで政策金利の発表があります。
今回は据え置きの予想ですが、先週(6月12日~)はBOC(カナダ銀行[カナダの中央銀行])の副総裁が利上げを示唆したことでカナダドルが急騰したばかり。
RBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])でもコメントには要注意ですね。
IMM(国際通貨先物市場)のポジションを見ると今月(6月)、NZドルは買い越しに、豪ドルは売り越しに転じていてオセアニア通貨の明暗が対照的になっています。


(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
(次ページでは米ドル/円の戦略や今週の注目材料の話題が…)
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