■FOMCを受けて利上げ観測強まり、米ドル上昇
先週、9月19日(火)~20日(水)はFOMC(米連邦公開市場委員会)がありました。
市場が注目していたバランスシートの縮小は10月からの開始となり、これは既定路線だったため、相場への影響は限定的でした。
年内の利上げについては、市場は低インフレの状態が続いていたことで、年内の利上げ予想は後退していましたが、ドットチャート(※)の方では、FRB(米連邦準備制度理事会)メンバー16人中12人が年内の利上げを支持しており、これにより利上げ観測が強まって、米ドルが上昇しました。
(※編集部注:「ドットチャート」とは、FOMCメンバーのFFレート誘導目標の見通しを分布図で示したもの)
(出所:FRB)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)
FOMCが開催された9月20日(水)は、米ドル/円は112.53円まで上昇し、ユーロ/米ドルは1.1860ドルまで下落しました。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
英ポンド/米ドルに関しては、高値を更新していましたが、FOMCを受けて上ヒゲの長い足となっています。
ただ、11月のMPC(イングランド銀行金融政策委員会)での利上げ予想が出てきていることから、英ポンドは底堅い展開が続いています。
【参考記事】
●ポンド/円は買いだが、利上げすればそこが天井。ドル/円は10月から上昇しやすい傾向(9月19日、バカラ村)
(出所:Bloomberg)
今週(9月25日~)は、トランプ政権の税制改革の草案が発表されることになっています。ロイターによると27日(水)に発表されるのではないかと報じられています。
これまでなかなか進んでいなかった税制改革ですが、トランプ大統領は民主党議員への根回しも始めたので、徐々に現実的になりつつあります。
ここで具体的な内容が出てくるようであれば、米ドルが上昇し、さらに年内の利上げも確実視され始めるので、米ドル/円の上昇はしっかりしたものとなりそうです。
(出所:Bloomberg)
■解散総選挙は「株高・円安」になりやすい
日本の政治面では、今週(9月25日~)、衆議院が国難突破解散となり、10月22日(日)に総選挙となります。
一般的には解散総選挙となれば、株高・円安となりやすいため、今回もこの流れになるのではないかと考えています。
さらに、2兆円規模の経済対策を策定する見込みもあることから、株高・円安になりやすいのではないかと思います。
(出所:Bloomberg)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
ただ、総選挙で自民党が負けることがあれば、安倍首相は与党で過半数を取ることができなければ辞任をすると発言していることもあり、まだ1カ月先の内容にはなりますが、もしこれが現実となってしまうと、アベノミクス相場の逆回転のイメージから、株安・円高となります。
■米ドル/円、英ポンド/円は押し目買い戦略
昨日(9月25日)は、北朝鮮の外相が、「トランプ大統領の発言は宣戦布告にあたる」と発言したことから、リスク回避の動きとなり、米ドル/円は111.47円まで下落しました。
米ドル/円は107.31円から112.71円まで、約5.4円の上昇をしてきたこともあり、調整しやすいタイミングで上記の報道が流れました。
(出所:Bloomberg)
宣戦布告と発言していますが、このまま戦争に突入するとは思えず、まだ北朝鮮も米国も手が出せない状態で、威嚇だけが続くと思います。
これまでも地政学リスクで下がったところは、米ドル/円やクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)は買い場でしたが、今回も同じように買い場になると考えています。
米ドル/円の38.2%戻しが110.63円となり、まずはその水準が下げ止まりのメドとなると考えています。
(出所:Bloomberg)
来月(10月)に向けて、解散総選挙での株高・円安の流れは継続すると考えて、米ドル/円は押し目買いがいいのではないかと考えています。
英ポンド/円も利上げ観測があることから、こちらも押し目買いがいいように考えています。
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