■好調な経済指標。12月FOMCでの利上げは、ほぼ確実
この1週間は、米国でいくつかの注目材料が出てきたので、それを1つずつ紹介していきたいと思います。
まず、経済指標です。
11月29日(水)に発表された、2017年7~9月期の米GDP(国内総生産)・改定値は、実質の伸び率が前期と比べて年率で+3.3%と、速報値の+3.0%から上方修正され、米国経済の好調さを印象づけるものとなりました。
(出所:Bloomberg)
さらに同日、イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長が議会証言で、「健全な労働市場を維持し、物価上昇率を目標とする年2%に安定させるためには、緩やかな利上げが適切だ」と述べ、12月12日(火)~13日(水)に行われる予定のFOMC(米連邦公開市場委員会)での0.25%の利上げが、ほぼ確実になりました。
(FRBのデータを基にザイFX!が作成)
■パウエル次期FRB議長は、金融引締め継続へ
イエレンFRB議長は今回の任期(~2018年2月)で退任し、後任はジェローム・パウエル現FRB理事に決定しました。
パウエル氏は、米上院での公聴会で次のように述べています。
「金利と保有資産の規模を正常化させるときだ。4.1%という失業率と力強い経済成長を踏まえると、極めて低い金利は適切ではない。徐々に引き上げていく。緩やかな利上げは米経済の回復を維持する最良の方法だ。12月に利上げする条件は整った。保有資産は現在の約4.5兆ドルから小さくなるが、金融危機前の水準よりは大きくなる。試算の規模が安定するには3~4年かかり、2.5兆ドル~3.0兆ドルになると考えている」
この発言を受けて、来年(2018年)以降も金利、量ともに、金融引締めが継続されるという方針がはっきりしました。
【参考記事】
●次期FRB議長は誰? そしてドル/円は…!? 雇用の最大化をめざすとなぜ通貨安になる?(10月30日、西原宏一&大橋ひろこ)
■税制改正の審議は、いよいよ佳境。成立は目前
最後は、税制改正です。トランプ政権と共和党が実現を目指している税制改正について、下院と上院でそれぞれ法案が発表されました。それぞれに若干の違いはあるものの、基本的なポイントは同様となっています。
その中でも、特に法人税の引き下げと、現在、海外に滞留している利益への税率引き下げが大きなポイントです。
特に、海外に滞留している利益への税率引き下げが実現すると、大量の米ドル買いが発生して、米国に資金が流れ込む可能性が出てくるので、米ドルにとっては好材料です。
【参考記事】
●ドル/円はポジション調整狙った戻り売り。でも、感謝祭後はドル高と考える理由は?(11月14日、バカラ村)
下院では、すでに本会議で法案が決議されているほか、上院では、現在、まさに本会議の審議に入っています。今の米国の議会の状況を見ると、成立する可能性がかなり高まってきています。
以上、4点指摘しましたが、いずれも米ドルにとっては好材料…
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