■米上院補欠選挙は接戦の末、共和党敗北…
今週(12月11日~)のマーケットのもうひとつの話題は、米アラバマ州の上院補欠選挙。
アラバマ州は、いわゆるレッドステイツ。つまり、共和党が勝って当たり前の地域。
事の発端は、トランプ大統領がジェフ・セッションズ上院議員を司法長官に指名したので、その後釜を決めなければならなくなったこと。
トランプ大統領が押していたのが、共和党候補者のロイ・ムーア氏。ところが、彼にセクハラ疑惑が報道され、窮地に…。
<米アラバマ州の上院補欠選挙候補者>
・ 共和党候補者:ロイ・ムーア氏(70)
共和党候補者で元州最高裁判事。選挙期間中、過去に未成年の少女に性的関係を迫った疑惑が浮上。その後も告発が相次いだ
・ 民主党候補者:ダグ・ジョーンズ氏(63)
民主党候補者でロイ・ムーア氏の対抗馬。1980年に連邦検事補になり、その後、連邦検事や弁護士などを務めた
トランプ大統領は8日、「外に出て、ロイ・ムーアに投票してくれ」と述べた。
アラバマ州の州境から約24キロのフロリダ州ペンサコラでの集会で語った。
同大統領は米国が上院で共和党の議席を失う余裕はないと述べた。
12日のアラバマ州上院補欠選挙では共和党候補ロイ・ムーア氏と民主党候補ダグ・ジョーンズが争う。
トランプ大統領はまた、新たな移民法の必要性や議会が近く「大規模」な減税案を承認するだろうとの予想について発言。
出所:Bloomberg
このように、トランプ大統領も、さかんに応援し、戦ったアラバマ州上院補欠選挙ですが、接戦の末、共和党が敗北という結末に…。
アラバマ州上院補欠選挙ではトランプ大統領も応援し戦ったが、共和党は敗北という結果に…
(C) Chip Somodevilla/Getty Images News
アラバマ州の上院議員選挙で民主党候補が最後に勝利を収めたのは、1992年まで遡らなければいけません。
その後は、共和党が全勝しています。
ところが、今回の補欠選挙の結果、上院議席は共和党51、民主党49と一段と接近。つまり、1人の造反者まではいいのですが、2人になると法案は通りません。
1人の造反者の場合は、副大統領が最後の1票を入れます。現在、副大統領のペンス氏は共和党なので、51対50で共和党の勝利となります。
■補選敗北によるトランプ政権の窮地は米ドルにマイナス
今回、勝利を収めたジョーンズ氏は、来年(2018年)1月3日(水)までに上院議員に就任することになります。
つまり、共和党はそれまでに税制改革法案を通過させるよう、急がなければならなくなったという意味でもあります。
加えて、共和党内で責任追及が始まることは確実で、政局の不透明感が増すという側面もあります。
結果、2018年は、共和党が法案を通すのが、さらに難しくなったということになります。
現時点でのトランプ政権の窮地は、米ドルにとってマイナス。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
このアラバマ州上院補欠選挙での共和党の敗北が、来年(2018年)に中間選挙を控えたトランプ政権にとって想定以上の負荷となる可能性が高まり、ひいては米ドルの上値を重くすることになると懸念しています。
FOMC後はコンセンサスどおり、セル・ザ・ファクトで反落した米ドル/円。
アラバマ州上院補欠選挙での共和党の敗北もあり、下値余地が拡大している米ドル/円の動向に注目です。
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