■2018年初頭の注目はユーロ/円か?
まず、米ドル/円が膠着相場を演じる中、注目通貨を挙げるとすれば、ユーロ。
ユーロクロス(ユーロと米ドル以外の通貨との通貨ペア)の中でも、今年(2017年)米ドル/円がレンジ相場を演じたこともあり、大きく値を上げたのがユーロ/円。
ユーロ/円は、今年(2017年)前半はフランス大統領選に対する不安感もあり、115.00円(安値=114.85円)レベルまで値を下げました。
しかし、フランス大統領戦というビッグイベントを無事通過したことに加え、前述のように、ECBのテーパリング予測も台頭し、ユーロ/円は大きく値を上げます。
【参考記事】
●110円台乗せの米ドル/円は底を打った? 非常に強いチャートの通貨ペアとは?(4月24日、西原宏一&大橋ひろこ)
ここで、今年(2017年)後半のユーロ/円の動きをチャートで確認してみます。
(出所:Bloomberg)
フランス大統領選挙後のユーロ/円は、130円台ミドルまでは簡単に値を上げます。
そして、200週移動平均線が位置している130円台ミドルで上値を抑えられ調整局面入り。
ただ、その調整期間に時間を要し、200週移動平均線のレベルを抜くのに約2カ月を要しましたが、結局、130円台ミドルもブレイク。
再び上昇に加速がつくも、次のレジスタンスである2014年12月高値149.78円から2016年6月安値109.57円の下落幅の61.8%戻しとなる134.42円に上値を抑えられ、再びもみ合い相場に陥ります。
しかし、欧州の景気回復期待もあってユーロは下げ渋り、12月20日(水)には61.8%戻しのレンジを、とうとうブレイクしました。
2018年初頭も好調な欧州経済を背景に、ユーロ/円は底堅く推移する可能性が高く、まず、140円を目指す展開になると想定しています。
では、今年(2017年)極端に狭いレンジの推移を続けてきた米ドル/円の動向はどうなるのかを探ってみます。
■米中間選挙に向けて米ドル/円は105円へ
ユーロ/米ドルについては、多くの金融機関の2018年の予測は、徐々に固まりつつあります。
ECBのテーパリング観測もあり、ユーロ/米ドルは1.25~1.28ドルへと上昇するのではないかとの予測がコンセンサス。
(出所:Bloomberg)
意見がわかれているのが米ドル/円。
2018年の米ドル/円は、120円に向けて上昇するのではないか? との予測を出しているのがゴールドマン・サックス。
逆に、105円に向けて反落するのではないか? とのレポートを出しているのがモルガン・スタンレー。
ただ、どちらも現状の米ドル/円のレベルから大きく離れておらず、ボラティリティが高まらないという見方が多数。
2018年前半は、そうしたコンセンサスのもと、米ドル/円は引き続き大きな動きはなく、105~118円のレンジ圏内での動きに終始する公算が大。
しかし、2018年後半は米中間選挙というビッグイベントを控えており、米ドル/円もボラティリティが高まるのではないかと想定しています。
米ドル/円の行方に大きな影響を及ぼしているのがトランプ政権であるとの見方から、2018年後半の米ドル/円の行方を検証してみます。
今年(2017年)のトランプ大統領の行動を見ていると紆余曲折があるものの、なんとしても公約を実行しようとしているのが明白。
トランプ大統領の悲願であり、かつ公約のひとつである米税制改革法案は12月20日(水)に米議会を通過しました。
そして、マーケットを驚かせたのが、公約どおり米大使館のテルアビブからエルサレムへの移転を決定したこと。
【参考記事】
●トランプ大統領が米大使館のエルサレム 移転を決断! 中東リスク危惧で相場は…!?(12月7日、西原宏一)
エルサレムをイスラエルの首都と認定し、署名入りの書類を掲げるトランプ大統領
(C)Chip Somodevilla/Getty Images
もともと、米大使館がエルサレムに移転することは、「エルサレム大使館法」として、米議会が成立させています。
成立されたのはかなり昔になりますが、1995年。これには期限がついており、1999年5月31日までに実施することになっていました。しかし、この米大使館の移転は中東問題を悪化させることは明白なので、歴代の米大統領は大統領権限で半年ごとに延長してきました。
しかし、今回、トランプ大統領は延期をせず、エルサレムに移転を決定します。この決定の裏には娘婿であるクシュナー(ユダヤ教徒)の存在が影響していると想定されています。
この決定に対して、中東諸国のみならず、欧州各国から批判の声が上がっています。
しかし、こうした反発を予想した上で…
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