■オープン外債などに絡む米ドル需要が目立つ
前述の米国債利回りに続き、米ドル/円と相関が切れているのが、日本株。
年初からの日本株の底堅さは継続しており、本稿執筆時点の日経平均は一時、2万4000円台を回復しています。
(出所:Bloomberg)
従来の日本株と米ドル/円の相関性から考えれば、米ドル/円は120円台を回復していてもおかしくないのですが、現時点の米ドル/円は111円台。
こうして材料をピックアップしていくと、米ドル/円のサポート材料はなくなっているように思えますが、110円台では断続的に米ドル買いを持ち込んでいる市場参加者がおり、彼らの米ドル買いが米ドル/円を支えています。
(出所:Bloomberg)
それは、本邦機関投資家のオープン外債(為替をヘッジせず、オープンで投資する外債)。
過去のコラムでも取り上げましたが、米ドル/円の110円台での円高局面では、生保からのオープン外債に絡む米ドル需要が目立ちます。
【参考記事】
●米ドル/円、株や米長期金利の上昇に追随できず…。111円割れなら107円台も視野!(1月11日、西原宏一)
住友生命は、「外債投資はドル安局面でのオープン外債を検討、USDJPYの110円にかけて押し目での投資を検討」という報道もあり、米ドル/円の110円台には、本邦大手生保は、かなりまとまった買いオーダーを置いている模様。
加えて、110円台にはフラット為替(※)による米ドル買いも散見され、彼らからの米ドル買いにより、本日(1月18日)の米ドル/円は、111円台に戻しています。
(※編集部注:「フラット為替」とは、スポットの為替レートが安いときに将来のかなり先(5-10年、それ以上の長期)までフォワードレートを加味し、輸入予約を済ませてしまおうというスキームのこと)
■米ドル/円は110.00円の攻防に注目
以下は、米ドル/円の日足チャートです。
(出所:Bloomberg)
110.10円レベルには、中期の米ドル/円のサポートラインがきています。
加えて、110.15円は、2017年9月8日安値と2017年11月6日高値の61.8%戻しレベル。
他通貨での米ドル安の流れは変わりませんが、米ドル/円の110円台では、前述のオープン外債とフラット為替による米ドル買い需要で、いったん110円台はサポートされています。
中期の米ドル安の流れは変わらないため、対円でも再び110円台の攻防になる可能性が高いのですが、次の110円台の攻防が、今年(2018年)前半の米ドル/円の行方を左右しそうです。
1月17日(水)のように、米ドル/円が110.00円を下抜けなければ、昨年(2017年)後半のように当面レンジ。
逆に、110.00円を下抜けてしまうと、米ドル/円の下値余地は大きく拡大します。
中期的な米ドル安の流れと、本邦機関投資家の米ドル買い需要が交錯する米ドル/円の110.00円の攻防に注目です。
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