■円高の流れはクロス円で継続
米ドル/円が105.55円に到達して以来、円高のスピードは沈静化。いったん調整モードに入っていますが、米ドル以外の通貨に対しての円高の流れは続いています。
そのカギを握っているのが株。
2月28日(水)のNY市場では、米国株が反落。NYダウは、前日比380ドル安の2万5029ドルでクローズ(=1.50%急落)。引けにかけて大きく値を下げた展開でした。
(出所:Bloomberg)
呼応して、本日(3月1日)の日経平均は、本稿執筆時点で前日比360円安の2万1740円で推移しています。
(出所:Bloomberg)
結果、リスクオフでクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が下落。
ユーロ/円は129.95円レベル、英ポンド/円は146.60円レベルで軟調に推移しています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)
ユーロ/米ドルが極めて強烈なレジスタンスを形成していた1.2500ドルレベルを上抜けず反落していること、加えて、ユーロ当局者からのユーロ高牽制コメントもあり、クロス円ではユーロ円の下落が注目されています。
【参考記事】
●米ドル/円が105円台まで下落したワケは? ユーロ/米ドルと金の高い相関性に注目!(2月19日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:Bloomberg)
■英ポンド/円は半値戻し届かず140円割れへ
個人的に注目しているのが、英ポンド/円。
2月28日(水)の欧州市場では、メイ英首相が「EU発表の離脱文書草案、同意する英首相はいない」とコメントしたことで、英ポンドが急落。英ポンド/円は150円を大きく割り込み、一時146.48円まで急落しました。以下は、英ポンド/円の週足チャートです。
(出所:Bloomberg)
英ポンド/円は、2015年6月の高値が195.88円(米ドル/円は125.86円に到達)。安値はフラッシュ・クラッシュが起こった2016年10月につけた121.61円です。
わずか1年4カ月で約74円もの暴落となりました(昨今の仮想通貨なみのボラティリティ)。
その後も、ハードBrexit(英国のEU離脱)に関する報道を材料に英ポンド安のセンチメントが続きました。
しかし、英ポンド/円のマーケットは、悪材料を充分過ぎるほど織り込んでおり、実際の値動きはまったく逆。英ポンド/円は続伸し、一時156.61円まで到達。
ただ、フィボナッチリトレースメントでは50%戻しが158.75円となるため、この水準までは届かず反落していることになります。エリオットも5波動を終了しています。
昨年(2017年)の英ポンド/円の急騰により、マーケットは、ハードBrexit関連のニュースに対する警戒心が後退しているため、現在の英ポンド/円相場はネガティブニュースに極めて耐性が弱い環境ともいえます。
(出所:Bloomberg)
結果、英ポンド/円は調整に入った可能性が高まっていると想定しています。
総じて、クロス円が弱い環境下、英ポンド/円はまず、140円割れまで反落するのではないでしょうか?
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)」です。
「トレード戦略指令!」は10日間の無料体験期間がありますので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスやチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)