■「米長期金利3%超えで米国株下落」は都市伝説!?
目先の米ドル全面高、そしてまた、これから米ドル全面高が継続していく理由について、テクニカルのみでなく、ファンダメンタルズ上の根拠も重要であろう。米金利高に連動といった解釈は間違いではないが、歴史を調べればわかるように、米金利高=米ドル高といった構図は存在しない。米ドルの高安は、基軸通貨であるだけに、諸要素が総合的に作用するため、単純に米金利の高安で片付けられないから、一概には言えないのが真実である。
同じ視点では、米長期金利(米10年物国債の利回り)が3%を超えると米国株が落ちるといった「俗説」にもご用心。このような大雑把な言い方は、特定の市況を通説のように仕上げた「都市伝説」とも言えるから、あまり流されない方がよいかと思う。
とはいえ、最近の米ドルの反騰が、米金利の上昇を反映しているのは間違いない。ただし、4月初頭まで米金利の上昇とダイバージェンス的な値動きを見せた米ドルが、やっと「通常」の関係に戻っただけで、あまり大げさに取り上げなくてもよいかとも思う。
■米中貿易戦争の激化も米ドル高につながったのではないか
最近の米ドル高について、見逃しがちなファンダメンタルズは米中貿易戦争の行方だ。おもしろいのは、米ドルが落ちているうちは、米中貿易摩擦拡大の懸念云々で米ドル安と解釈されていたが、米ドルが上がってくると、まるで米中貿易摩擦がなくなったかのように、それが解釈の根拠として語られなくなってきたことだ。
しかし、現状はむしろ逆だ。米中貿易戦争は緩和どころか、むしろ激化している。象徴的な出来事は、中国通信機器大手ZTEに対する米制裁であった。
結論から申し上げると、今回の米制裁によってマーケットは以下のことを確信し、トランプ政権の「権威」に再び敬意を払うことになった結果、米ドル高になったのである。
まず、マーケットは対中競争に勝つというトランプ政権の本気を感じ、米中貿易戦争の本質に気づいている。
次に、米中戦争における米国の敗北といった意見が多い中、中国ZTE社への制裁によって中国のもろさが浮き彫りになり、米国の圧倒的な優位性が市場関係者に再び認識されたと思う。
最後に、対中競争における優位性の結果、米ドルは割高ではなく、むしろ割安なのでは…と市場が気づき、米ドルのショートポジションを買い戻して、米ドル高のシナリオに傾くようになっているとみる。
このあたりの詳説は、また次回に譲らなければならないが、今回の米ドル高はホンモノで、また、雄大なトレンドを作っていくから、足元まだまだ初歩段階にあることを強調しておきたい。
人民元は管理されている通貨なので論外だが、過大評価されすぎたユーロの落ち目は明らかで、これからユーロの長期下落、また、今度こそ「パリティ」割れを覚悟しておきたい。
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市況はいかに。
(14:00執筆)
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