■米長期金利は今後も緩やかな上昇が継続か
米ドル/円は約3週間、108.50~110.00円を中心としたレンジで推移しています。
110円台には売りオーダーが多いようで、これが上昇トレンドを抑える状態となっています。
【参考記事】
●株と為替に温度差…。どちらが正しい? M&A相次ぐも、ドル/円110円の壁は厚い(5月14日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:Bloomberg)
米長期金利(米10年物国債の利回り)も、3.00%を挟んだ推移が続いていますが、こちらも上昇トレンドは継続となっています。
(出所:Bloomberg)
米長期金利が急騰するようであれば、金融市場にショックを与えることになりますが、先週(5月7日~)の米CPI(消費者物価指数)も大きな上昇とならなかったことから、今後も米長期金利の緩やかな上昇が継続していくと思います。
【参考記事】
●米ドル「1人勝ち」の状況は当面続く! 高金利三兄弟の新興国通貨はキケン!?(5月11日、陳満咲杜)
■円高リスクに備えた方が良い!?
米長期金利が緩やかに上昇するのであれば、株式市場への悪影響も小さくなるため、NYダウは5月3日(木)を底にして、反発してきています。
(出所:Bloomberg)
トランプ大統領が、中国通信機器大手ZTE社への制裁緩和を示唆したことも、リスクオンにつながっています。
ただ、5月15日(火)から19日(土)にかけて、米中で通商交渉が行われます。
ZTE社に対する制裁は緩和される可能性が示唆されていますが、先々週(4月30日~)、トランプ大統領は、中国の貿易赤字を1年で1000億ドル、さらに1年後には追加で1000億ドルと、2年間で2000億ドルの貿易赤字削減を要求しています。
そこからも、通商交渉が簡単にまとまるとは思えず、リスクを積極的に取るよりは、円高リスクに備える方がいいのではないかと考えています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
■英ポンド/円の上値には多くのレジスタンス
NZドル/円や英ポンド/円は、チャート上で弱い状態となっています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:NZドル/円 日足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円)
英ポンド/円については、先週(5月7日~)、149.30円で上値が抑えられており、5月15日(火)現在、149.29円付近で推移する、200日移動平均線もレジスタンスとなります。
ここを越えることができても、21日移動平均線や150.50円付近もレジスタンスとなる可能性があり、上昇が止まりそうです。
(出所:Bloomberg)
基本的に、英ポンド/円は売り方向で考えており、先週(5月7日~)の安値146.90円までの下げも、期待できるのではないかと考えています。
■ユーロ/米ドルの大きなトレンドはいったん終了
ユーロ/米ドルは5月9日(水)まで、約3週間、下落が続き、直近の高値から約600pipsも下げました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
今年(2018年)前半に、市場の投機的なポジションがユーロ買いと米ドル売りに偏っていたこともあり、このポジションが解消されていく動きとなりました。
テクニカル的にもみ合いが長く続いていたこともあって、レンジ下限のブレイク後は、急落した形となっています。
ただ下げが速かったこともあり、売られ過ぎの水準まで来ているため、いったんは下げ止まっています。
【参考記事】
●大きく下落してきたユーロ/ドルの突っ込み売りはハイリスク。売りはそろそろ手仕舞い(5月8日、バカラ村)
長期では、ユーロ/米ドルは上昇するという予想を変えていませんが、このまますぐに上昇するような材料もないことから、しばらくは横ばいになるのではないかと考えています。
週足では、まだ下げ止まりが示唆されていないことから、横ばい後は再度下落し、1.18ドルも下抜ける動きが出てくる可能性が高そうですが、今後1~2週間は、1.18~1.21ドル内での、横ばいの動きとなるのではないかと考えています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 週足)
ユーロ/米ドルの大きなトレンドはいったん終了し、しばらくは、調整の動きになるのではないかと考えています。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)