■イタリア政局はさらに混迷…
先週のコラムでご紹介させていただいた、イタリアの政局は、さらに混迷。
【参考記事】
●トルコリラ急落をきっかけにリスクオフ! 米ドル/円急反落! ユーロ/円は123円へ…(5月24日、西原宏一)
事の顛末をまとめますと、まず、今年(2018年)3月のイタリアの選挙において、どの政党も過半数を取れなかったことから始まります。
そして、「五つ星運動」と「同盟」が連立政権を目指し、新首相に五つ星運動のジュセッペ・コンテ教授を任命します。
しかし、マッタレッラ大統領は、先週(5月21日~)末、ユーロ懐疑派のエコノミストであるパオロ・サボーナ氏の経済相起用を拒否。
これを受けて、五つ星運動と同盟が首相に推した、ジュセッペ・コンテ教授は組閣を断念することに…。
結果、イタリアの政局は、さらに混迷したというわけです。
5月29日(火)の報道によれば、早ければ、7月29日(日)や8月5日(日)の選挙実施に向け、議員らのコンセンサスが固まりつつあるとのこと。
呼応して、イタリア10年国債利回りの対独スプレッドは、さらに急拡大しています。
加えて、驚くべきは、イタリア2年債の急落。
5月29日(火)のイタリア2年債の利回りは急上昇し、一時、前日比2倍強の2.7%に到達。
(出所:Bloomberg)
これに即座に反応したのが、ユーロです。
次のイタリア再選挙は、ユーロの是非を問う事実上の国民投票になるとの意見も増えてきているため、ユーロクロス(米ドル以外の通貨とユーロとの通貨ペア)は、急激に下落。ユーロは、主要通貨に対して大きく値を下げています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 日足)
■ユーロ/円は1週間で約7円急落! 120円へ…
このユーロクロスで下落が際立ったのが、先週のコラムでも取り上げているユーロ/円です。
【参考記事】
●トルコリラ急落をきっかけにリスクオフ! 米ドル/円急反落! ユーロ/円は123円へ…(5月24日、西原宏一)
ユーロ/米ドルは、イタリアの政局の混迷から急落し、米ドル/円は、米10年債利回りが下落して値を下げているという相場環境の中、ユーロ/円は暴落。
131.35円の高値(5月22日)から、あっという間に124.62円(5月29日)まで下落しました。
つまり、わずか1週間で約7円の急落となっています。
(出所:Bloomberg)
イタリアの混乱は、5月30日(水)に行われた5年債、10年債の入札が、まずまずの結果であったため、いったん下げ止まっています。
ただ、同盟のサルビーニ党首は、そもそも、ユーロは「ドイツの通貨」であるという意見を持っていることもあり、イタリアの政局は、依然、不透明。よって、当面、ユーロの上値は、限定的なものになりそうです。
以下は、2018年2月8日(木)にロイターで配信された記事を引用したものです。
イタリアの右派政党である北部同盟のマッテオ・サルビーニ書記長は7日、同党がユーロ離脱に向けた準備を進めていると表明、ユーロは「ドイツの通貨」であり、イタリア経済に損害を与えているとの認識を示した。
出所:ロイター
お伝えしたとおり、イタリアの再選挙は、ユーロの是非を問う事実上の国民投票という考え方も増えてきています。120円への下落過程にあるユーロ/円の動向に注目です。
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