■米国VS他国の通商問題に右往左往
先週(6月18日~)以降、金融市場の注目は、トランプ米大統領と他国との通商問題に集中してきており、その他の相場変動要因に対しては、関心が薄くなっています。
【参考記事】
●貿易戦争を警戒してるのに米ドルはなぜ安定している? 米ドル/円は需給に注目!(6月22日、今井雅人)
トランプ政権の通商問題に関しては、関係者の発言や交渉内容の報道などが出るたびに、市場が右往左往する展開が続いています。

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■ふらついた動きがまだまだ続くかも…
直近の動きを少し例に挙げてみると、昨日(6月27日)のNY市場では、まず、トランプ米大統領は、中国企業による米ハイテク技術獲得への対応で、中国に特化した制限を課すのでなく、CFIUS(対米外国投資委員会)の審査(※)を強化する方針を表明しました。
(※編集部注:「CFIUS(シフィウス)」とは、米企業や事業への海外からの直接投資の影響を国家安全保障の観点から検討する委員会。米国の代表的な省庁のトップによって構成されており、財務長官が議長を務める)
IEEPA(国際緊急経済権限法)の発動(※)という、厳しい対応となる可能性もありましたが、融和的なアプローチが決定しました。
(※編集部注:「IEEPA」とは、外交や経済、安全保障に対する重大な脅威に対して非常事態宣言を発動し、金融制裁を用いて対処するための米国の法律のこと)
これを受けて、中国への対応がそれほど厳しいものにはならないのではないかという見方が市場で広がり、株価が上昇。米ドル/円も一時、110.49円まで買い上げられました。
ただ、その後にクドローNEC(米国家経済会議)委員長が、米国が通商面で要求していることに対して、「これまでのところ中国側の対応は満足のいくものではなく、トランプ大統領は中国への強気の姿勢を崩していない」と発言しました。
この発言を受けて、今度はリスクオフから株が下落し、為替市場は円高になるという反応が見られました。

(出所:Bloomberg)

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ここでは、直近の例を引き合いに出してみましたが、最近の相場展開は連日、大体、似たような動きを見せています。
この問題の交渉の結果が、はっきりと見えてくるまでは、市場は方向感を出せず、今のようなふらついた動きを続けるのではないかと考えています。
【参考記事】
●米中貿易戦争激化でも中国株以外はなぜ安定?中国が早晩、妥協するとみる理由は?(6月22日、陳満咲杜)
■トランプ大統領に想定外の出来事!?
トランプ米大統領自身も、今の段階でゴールがはっきりと見えているということではないでしょう。
その典型的な例が、米オートバイメーカー大手のハーレーダビットソンが、EU(欧州連合)の報復関税による追加の高関税を回避するため、欧州向けの生産を米国外に移すと発表したことに対しての反応です。
トランプ米大統領は、この発表に対して、「我慢しろ」などとツイッターで発言し、不快感をあわらにしました。

トランプ大統領は欧州向けの生産拠点を国外へ移すと表明したハーレーダビットソンのへ不快感をあらわに。恐らく、大統領にとっては想定外の出来事だったのでは…。写真は2015年9月にペンシルベニア州ウェスト・ローンで演説した時のもの (C) Chip Somodevilla/Getty Images News
彼にとっては、想定外の出来事だったのでしょう。今後もまだ、さまざまな憶測や報道が出てくる可能性は高いです。そのため、相場が細かく乱高下する展開は続くでしょう。
■基本は米ドル/円の押し目買い方針で
ただし、そんな中でも、全体的な米ドル高傾向は、それほど大きくは崩れてはいません。

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(出所:Bloomberg)
米ドル/円も、109円台前半から半ばにかけて、かなり底堅くなってきています。

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本邦企業による大型M&A絡みの米ドル/円買いも、断続的に市場に持ち込まれているようです。
【参考記事】
●貿易戦争を警戒してるのに米ドルはなぜ安定している? 米ドル/円は需給に注目!(6月22日、今井雅人)
●金利環境を見れば当面、米国が一人勝ち!? 本邦M&A活況で米ドル高・円安相場に!(6月15日、今井雅人)
もちろん、米中の通商交渉が決定的に決裂し、貿易戦争に突入するような事態になれば、一気に相場展開は変わってしまいますが、そうでなければ、米ドル/円の底堅い動きは、今後も継続すると考えています。
投資方針としては、基本的に米ドル/円の押し目買いを推奨したいと思います。
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