■トルコと米国との関係が改善されると予想するワケは?
投資家の皆さんが、もっとも気になることの1つは、トルコと米国との関係ですが、私は改善の方向に向かうと予想しています。
エルドアン大統領は、今月(9月)末に国連総会で米国を訪問する予定で、その前にブランソン牧師が釈放されると考えています。
【参考記事】
●トルコ人ストラテジストが分析! 牧師釈放は近そう。ならばトルコリラ/円は19円まで反発(8月15日、エミン・ユルマズ)
そう考える理由は、先週(9月3日~)行われたトルコ、ロシア、イラン首脳による3カ国会談です。

イランの首都、テヘランで開催されたトルコ、ロシア、イランによる3カ国会談でがっちりと握手する首脳。しかし、懸案事項だったシリア問題の溝は埋まらなかったようだ… (C)Anadolu Agency/Getty Images
3カ国の首脳は、イランの首都、テヘランでシリア情勢を協議するために集まりました。問題になっているのは、シリア政府軍(=ロシア、イラン)による北部奪還作戦です。北部にトルコが支援している反政府勢力が支配しているイドリブという町があります。
この町と周辺には、約2百万人のシリア人がいると想定されています。トルコ政府が恐れているのは、奪還作戦による人的被害とトルコに新たな大量の難民が押し寄せることです。
テヘランのサミットでエルドアン大統領は休戦を提案しましたが、ロシアとイランは受け入れませんでした。結局サミットでは、具体的な解決策が1つも得られないまま終わりました。
■米国と関係改善で、トルコリラ/円は20円超えを予想
この問題は、エルドアン政権にとって外交的に大きなジレンマを意味します。
米国と関係が悪化しているため、ロシアやイランに擦り寄ったのはいいですが、シリア問題でこれらの国とトルコの国益が衝突しているのです。トルコが再び、米国に顔を向けなければいけない状況になっています。
今月(9月)の国連総会は、そのいいきっかけだと考えます。国連総会の前に、ブランソン牧師の釈放があると予想しているのはそのためです。
昨日(9月13日)のトルコ中銀の利上げに続いて、米国との関係改善もあるとすれば、トルコリラは対円で20円を超えると予想しています。

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