■2018年通期のインフレ率21%超が確実に
今週、月曜日(9月3日)にトルコの8月のCPIが発表されました。8月のCPIは前月比でプラス2.3%で、年間ではプラス17.9%となりました。私の予想はプラス2.2%でしたので、ほぼ予想どおりの結果です。
インフレは過去15年間でもっとも高い水準に達していますが、8月の数字でわかったのは、2018年通期でインフレ率が21%を超えることが確実になったことです。
そう考えますと、今の政策金利である17.75%は、いかに低い水準であるかがわかります。

(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!編集部が作成)

(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!編集部が作成)
■トルコ政府が通貨防衛策とインフレ抑制策発表も、効果は…
先週(8月27日~)からトルコ政府は、一連の通貨防衛策とインフレ抑制策を発表しました。まず、トルコリラ預金の金利収入に対する税率を下げ、外貨預金は上げました。また、為替を理由とした不当な値上げが禁止されました。
前者はトルコリラ預金を増やすための取り組みで、後者はインフレ抑制策です。
また、9月4日(火)にトルコ財務省は、トルコから輸出した企業が儲けたお金を180日以内に国内に持ち込み、その金額の80%をトルコリラに変えなければいけないという新規制を制定しています。
実は、これと似たようなやり方は1990年代にもありました。当時は、ハイパーインフレが起きていて、トルコの外貨需要が大きかったので、輸出代金を90日以内に国内に持ち込まないといけなかったです。
トルコ経済が発展して外貨を獲得しやすくなったので、その規制が廃止されたのですが、直近のトルコリラ下落で、また復活した格好になっています。
【参考記事】
●大暴落と安定。約30年間のトルコリラ相場を振り返る。エルドアン政権の功罪とは?
いずれの対策も一定程度の効果は見込めますが、足元の通貨安(トルコリラ安)とインフレの根本的な解決にはならないと思います。金融引き締めとともに、一連の緊縮財政策を実施すべきでしょう。
根本的な解決にならない対策は、自由な貿易を損ない、市場経済にダメージを与える可能性があります。

(出所:Bloomberg)
輸入と輸出を同時にやっているので、輸出代金をすべてトルコに持って来ることができない企業もあれば、国産品だからといって、米ドル高、トルコリラ安による値上げが不当とは限りません。
国産品でも原油価格を始め、いろいろと生産コストが上がっているからです。
9月13日(木)にトルコ中銀の…
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