■安倍首相とエルドアン大統領が国連本部で会談
エルドアン大統領は今週(9月24日~)、国連総会のため米国を訪れています。米国・トルコ関係の行方が気になる中、エルドアン大統領と安倍首相は9月24日(月)に国連本部で会談しました。
9月24日に国連本部で会談した安倍首相とエルドアン大統領。両国間の貿易はあまり伸びていないようなのだが、どのような話し合いが行われたのだろうか? (C)Anadolu Agency/Getty Images
トルコと日本の間の経済連携協定(EPA)の早期合意を目指すことを確認したそうですが、日本・トルコ間のEPAもしくはFTA(自由貿易協定)の締結は以前からの課題で、トルコ政府はここ5年間、かなり力を入れてきました。
トルコリラは日本の投資家の間で人気が高まっていますが、両国間の貿易そのものはあまり伸びていません。また、トルコは対日貿易で約3000億円の貿易赤字を抱えておりまして、エルドアン政権はこちらも縮小させたいと考えています。
■トルコリラ/円は20円超え!? ブランソン牧師釈放のウワサ…
トルコリラは今週(9月24日~)に入ってから底堅い動きをしていて、トルコリラ/円は18円台を維持しております。
米国のポンペオ国務長官がブランソン牧師の件でトルコ側と今週(9月24日~)話す予定だと発言したのを受け、ブランソン牧師が来月(10月)釈放されるのではないかとの期待が高まりました。この期待でトルコリラもいったん反発し、トルコリラ/円が一時、18.50円を超える場面もありました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:トルコリラ/円 4時間足)
ブランソン牧師の裁判は次回、10月12日(水)に開かれます。ブランソン牧師のケースを担当している検察官が変わっていて、釈放が近いとトルコのメディアでもウワサされています。
釈放が近いとトルコのメディアでウワサされているブランソン牧師(中央)。次回の裁判日は10月12日とのことだが、果たして… (C)Anadolu Agency/Getty Images
個人的には引き続きブランソン牧師の釈放が実現すれば、トルコリラ/円は20円を超えるのではないかと予想しております。
【参考記事】
●トルコ中銀は、6.25%利上げで満額回答! トルコリラ/円が20円超えを目指すには…!?(9月14日、エミン・ユルマズ)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:トルコリラ/円 日足)
■「トルコの大手銀行破綻」という最悪のシナリオは回避
日本では報道されませんでしたが、実はトルコリラをサポートしているもうひとつの重要な動きが今週(9月24日~)ありました。それは、トルコ大手銀行のアクバンク(AKBANK)が約1000億円のシンジケートローンを確保しそうだというニュースです。
アクバンクは外国から借りている債務の償還が近づいていて、そのリファイナンスに困っていました。そして、この話題がイスタンブール市場ではかなりのリスク要因と見られていました。
実はアクバンクと同じ状況に置かれているトルコの銀行が多いです。トルコの銀行の年内に期限を迎える債務は合計で約6500億円と推定されています。
アクバンクのローン確保は同じ状況に置かれている他のトルコの銀行にとっても前例となるので、とてもポジティブなニュースです。
現地でもっとも恐れられているシナリオは、トルコの大手銀行がリファイナンスできず破綻してしまうことです。これは2001年のような金融危機に発展し、最終的には政府が銀行を全部救済しなければいけないという最悪の事態を引き起こす可能性があります。
【参考記事】
●大暴落と安定。約30年間のトルコリラ相場を振り返る。エルドアン政権の功罪とは?
アクバンクのローン確保はその可能性が低下することを意味するので、トルコリラの上昇圧力になると考えております。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:トルコリラ/円 日足)
シンジケートローンが確定するのは今週(9月24日~)の木曜日(9月27日)だと言われております。一方で、アクバンクはこのローンを確保するために2カ月前に出したオファーより75bpも高いオファーを直近で出したそうです。
これは、トルコの銀行の交渉力が弱体化していることと、今後も資金調達の面で苦戦を強いられることを意味しています。
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