■トルコリラが再び下落している2つの原因とは?
トルコリラは今週(9月17日~)に入ってからまた大きく落ちています。その原因は2つあると考えています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:トルコリラ/円 4時間足)
1つ目は、エルドアン大統領によるトルコ最大の銀行、イシュ・バンカス(IS BANKASI)についての発言です。
エルドアン大統領は現在、トルコ最大野党のCHP(共和人民党)が保有しているイシュ・バンカスの28%の株式を財務省に移管すべきと主張しました。

エルドアン大統領は、CHPが保有しているイシュ・バンカスの28%の株式を財務省に移管すべきと主張。これがトルコリラ下落の原因のひとつに… (C)Anadolu Agency/Getty Images
イシュはトルコ語で「事業や仕事」という意味で、イシュ・バンカスは英国の金融業界誌『ザ・バンカー』の世界銀行ランキングでも、いつもトップ100に入っている銀行です。
その歴史は古く、1924年にトルコ初代大統領ムスタファ・ケマル・アタテュルクの命令で創業されました。
【参考記事】
●東ローマ帝国滅亡からクーデター失敗まで! トルコリラ急落の今、トルコの歴史を振り返る
●大暴落と安定。約30年間のトルコリラ相場を振り返る。エルドアン政権の功罪とは?
アタテュルクは自身でも銀行の28%の株式を保有し、亡くなる時に、この株式を当時党首を務めていたCHPに残しました。CHPは今でもアタテュルクの株式をコントロールし、4名の役員を派遣している状況です。

■エルドアン大統領がトルコ最大の銀行を没収?
エルドアン大統領はこの状況を以前も批判していましたが、CHPの株式を財務省に移管すべきとはっきり発言したのは初めてです。
エルドアン大統領にも一理ありまして、アタテュルクが亡くなった1938年には他に政党がなく、当時はCHPが国家を代表していたので、これらの株式はトルコ共和国に残されていると主張しているのです。
しかし、エルドアン政権はここ数年、政治的なライバルとされるグループが保有している企業や銀行に政府執行人を派遣し、事実上の財産没収をしてきました。
今回の発言も、いよいよトルコ最大の銀行が没収されるのではないかとの懸念を投資家に与えてしまいました。
内外の投資家はトルコの正常化を強く望んでいるし、トルコは市場経済のルールに従ってほしい。私的所有権が尊重されていない国に海外から投資は行われませんし、国内の財産も海外に逃げるだけです。
トルコリラの下落を引き起こしている…
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)