昨日は米国株が大幅安のまま、ニューヨーククローズを迎えた。先週の金曜日から毎日のように大幅安を繰り返してきたのだが、毎回、終盤に切り返してきて小幅安ですんでいたところだ。それでマーケットもあまり意識してこなかったかもしれないが、地合いは確かに悪化していたのである。
とくに昨日のニューヨーク市場では終盤にはどうせ戻るだろうと楽観視していたところに一段安が迫ってきたものだから、それがニューヨーク市場が引けて時間外取引に移ってもなおいっそうの売りものを呼んだのである。
昨日の為替相場で目につくのは、ドル円もユーロ円もほとんど落ちていないということであろう。どちらも下がるには下がっているのだが、大台がフレッシュではない。ドル円は112円台のままであり、米国株が大幅安しているのに見合っていない。
ドル円も3円ほど落ちて109円台とかに突入していれば緊張感もわくが、これでは市場が本当に不安に感じているのかどうかも疑問に感じるのである。ドル円やユーロ円はリスク性の高いもの、例えば株価に敏感だとされる。それは連動して動くものだという認識が広まっていることを示す。
そして同時に同じように動くことから、ある種のショック・アブソーバーの役割も果たしていた。それが健全に機能している金融マーケットの姿でもある。すでに大幅安になっていて、ここから株券を投げ売りするのを尻込みする場合は代わりにドル円でもヘッジとしょうして売ってみる。それがワークするのが健全性の証拠でもある。
それなのにドル円が1円も落ちていないとは、低ボラを嘆く以上に、これまで続けてきた金融政策が実情にマッチしていない証拠だとも言えよう。逆に言うと、ドル円がちゃんと落ちていかないからショックをアブソーブできなくて米国株それ自体がたくさん下がらざるをえなかったとも言える。
今日もリスクとの戦いになることが予想される。グローベックスセッションも含めて米国株は下げ止まるのかどうか。回りを囲む環境はまったく変わっていない。イタリアの財政問題、イギリスの離脱問題、中国との貿易戦争、トルコなど新興国不安。
あまり言われていないが、日本のTAG交渉もかなりの問題を含んでいそうだ。昨日はドル円があまり下がらなかったからといって、ベアスタンスで臨むべきだということは変わらない。
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