■11月対米ドル騰落率では英ポンドが大きく上げる
為替市場に視点を移すと、10月は株下落によるリスクオフの展開で、「米ドル高・円高」の相場となり、ユーロ/円を中心としたクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)は急反落しました。
ただ、このステージにおいても、ユーロ/米ドルは1.1300ドルのバリアをブレイクできず、8月15日(水)に到達した安値とほぼ同じレベルで反発。米中間選挙前から反発しています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
加えて、ユーロ/米ドル以上に米ドルに対して反発している通貨があります。
それは、英ポンド/米ドルです。
以下は、今月(11月)の対米ドルの通貨別騰落率です。
(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!編集部が作成)
今月(11月)に入っての英ポンドは、NZドル、豪ドルに次いで、大きく値を上げています。
■英ポンド/米ドルはダブルボトム形成後に反発
では、英ポンド/米ドルの流れをチャートで確認します。
以下は、英ポンド/米ドルの日足チャートです。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足)
10月の英ポンド/米ドルは、「合意なきBrexit(英国のEU離脱)」懸念が拡大し、ずるずると値を下げる展開でした。
10月30日(火)には、1.2696ドルの安値まで下落しています。
この1.26ドル台というのは重要なレベルであり、8月15日(水)に到達した1.2662ドルの安値まで届かず、反発している展開です。
8月15日(水)というのは、多くの通貨にとって転換日となっています。ユーロ/米ドルも、8月15日(水)に1.1301ドルまで到達し、その後、そのレベルをブレイクすることなく反発しました。
つまり、英ポンド/米ドルは10月後半に1.26ドル台でダブルボトムを形成して、11月は大きく値を上げている展開。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 週足)
■英ポンド上昇はBrexitに関する楽観的な見方が要因
これは、今月(11月)に入ってからBrexitに関する楽観的な見方が拡大していることが要因となっています。
たとえば、下記の記事。
メイ首相にEU譲歩、離脱後も英全土が関税同盟に残留-タイムズ紙
英国のメイ首相が欧州連合(EU)離脱後も英国全土が関税同盟に残ることで、EUから譲歩を取り付けたと、日曜紙サンデー・タイムズが情報源を明示せずに報じた。英領北アイルランドの国境にハードボーダー(物理的壁)設置を回避する道筋が付けられたという。
出所:Bloomberg
今月に入ってから、Brexitに関する楽観的な見方が拡大。英ポンドも、ポジティブな報道に反応して大きく値を戻しているという (C)WPA Pool/Getty Images
ここでのポイントは、マーケットの反応です。
先月(10月)までの英ポンドのマーケットは、Brexit関連のポジティブな話題が出ても反発は一時的で、早晩、下落トレンドに戻っていました。
ただ、今月(11月)に入ってからの英ポンド/米ドルは、ポジティブな報道に大きく反応する傾向があり、そのため、月初の1.2766ドルというレベルから大きく値を戻しています。
これは、先月(10月)まで、ポジティブな報道が出ても反応せず、ずるずると値を下げていた豪ドルが、今月(11月)に入って、大きく値を戻しているのと似ています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 日足)
米中間選挙後、米国株が戻しているのも「米ドル安・円安」で、英ポンド/米ドルにポジティブな要因。
本稿執筆時点では、ユーロ/米ドルの1.1500ドルに巨大なオプションが残存しており、上値を抑えています。しかし、このオプションは、今週(11月5日~)中に、かなりのポジションが行使期限を迎えるため、ユーロ/米ドルの上値を抑えている要因の1つが消滅します。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
米中間選挙という不透明要因は消滅。
Brexitに対する楽観的な報道が目立つようになった英ポンド/米ドルは、1.3700ドルに向けて反発するのではないでしょうか?
じわじわと上値を伸ばしている、英ポンド/米ドルの動向に注目です。
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