■注目はFOMCのドットチャート!?
ところで、この逆イールドは本当に、米国の景気後退を示唆するものなのでしょうか?
それに関して、私は今の段階では、やや否定的です。それは、この状況が前述のとおり、パウエルFRB議長の発言によって起きたものだからです。
彼の真意は、まだ本当にはわかりません。そういう意味においては、12月18日(火)~19日(水)に行われるFOMC(米連邦公開市場委員会)が、非常に重要になってきます。
今回は0.25%の利上げが予想されていますが、これはほぼ、間違いないでしょう。問題は、来年(2019年)以降の利上げのペースを示すドットチャートが、どうなるかでしょう。
これが、下方に修正されることがあれば、いよいよ警戒が必要になってきます。これまで、米ドル高を基本シナリオにしてきましたが、それを修正する必要が出てくるかもしれません。
ちなみに、直近(2018年9月)のドットチャートでは、2019年の中央値が3.13%、2020年が3.38%ということなので、2019年は3回の利上げ、2020年は1回の利上げという予測になっています。
(出所:FRB)
■EU離脱案否決なら英ポンドは急落…?
それ以外にも、注意が必要な材料が2つあります。
1つは、英国のEU(欧州連合)離脱問題です。
12月11日(火)に、メイ英首相はEU離脱の合意案を、英下院議会にはかります。しかし、反対する議員が多く、否決される可能性が高い状況です。仮にそうなったら、英国は再び混乱し、英ポンドの急落を招く可能性もあります。
【参考記事】
●ドル/円は上値を追いかける状況ではない!? 年末に向けて英ポンド主導で乱高下も…?(12月4日、バカラ村)
●EU離脱案の採決控え欧州通貨は乱高下! 売られ続けた豪ドルに「意外高」の気配が!?(12月3日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
■EUではイタリア予算案が問題に
2つ目ですが、EUでは現在、イタリアの予算案が問題となっています。
EU側は、イタリアが提出してきた予算案を差し戻し、さらに緊縮するように求めています。しかし、予算案を緊縮すれば、国民の反感を買う可能性があり、コンテ伊首相は非常に難しい判断を迫られています。
この問題も、上手くまとまっていかなければ、ユーロの売り材料になる可能性があります。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
以上のように、不確定な材料が目白押しであり、方向性が定まるのをよく見極めてから、戦略を考えた方が賢明でしょう。
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