■FOMCで為替市場はリスク回避!
今年(2018年)最後のビックイベントだったFOMC(米連邦公開市場委員会)は、金融市場にとって、大きな動きを作るイベントとなりました。
トランプ大統領や新債券王のガンドラック氏などが、今回の利上げに否定的な発言を続けていましたが、FOMCは政策金利を0.25%引き上げ、来年(2019年)の利上げ見通しは、3回から2回に変更されました。
市場には、来年の利上げは1回や0回という予想もあったため、タカ派だとも言えるような内容となりました。
そのため、株式市場は下落、為替市場もリスク回避の動きとなっています。
(出所:Bloomberg)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)
さらに、米政府機関の一部閉鎖やナバロ大統領補佐官の中国に対する強硬姿勢などもあり、リスク回避の材料が豊富なことから、株式市場の下落は続いています。
【参考記事】
●ダウ急落。数年間の株価上昇は行き過ぎ! 米ドル/円は110円程度まで下落の可能性(12月21日、今井雅人)
■やっと動き出した米ドル/円。上値の重い状態続くか
米ドル/円はこれまで、10月の株価急落でも、11月のパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の「中立金利をわずかに下回る」という発言でも、動きませんでしたか、ここにきてやっと、動き出した展開です。
CFTC(全米先物取引委員会)が公表するIMM(国際通貨先物市場)ポジションの、投機筋の円売りと米ドル買いが多かったこともあり、クリスマス前や年末年始前のポジション調整も重なって、米ドル/円は110.55円まで下落してきました(※)。
(※編集部注:本記事の寄稿後、12月25日(火)の東京時間に米ドル/円は一時、110.08円付近まで下落した)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
12月18日(火)時点のIMMポジションでは、投機筋の米ドルに対する円の売り越しが再度、10万枚を超えてきています。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
過去には、10万枚を越えてくると、円高が起きていることもあって、今回も、このポジションの偏りが減るまでは、米ドル/円やクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の上値は、重い状態が続くのではないかと思います。
【参考記事】
●IMMの円売り越し13.6万枚! この数字が10万枚を越えると米ドル/円は調整しやすい(2017年11月21日、バカラ村)
●IMMの危険水準は円10万枚、ユーロ15万枚、英ポンド10万枚だが、さらに確認すべきは?
■米ドル/円のチャートは昨年とソックリ!
下図は、昨年(2017年)9月ごろからの米ドル/円の日足チャートです。下落を始める2カ月半ほど前に、114円台半ばの高値をつけて、その後に112円~114円を中心としたもみ合いが1カ月半ほど続き、112円を下抜けてから下げ始めています。
(出所:サクソバンク証券)
下図は、現在の米ドル/円の日足チャートですが、先ほどのチャートと非常に似た動きをしています。
(出所:サクソバンク証券)
そして、今年(2018年)1月のIMMポジションは、円の売り越しが12万枚まで偏っていました。今回も10万枚の偏りがあり、これも同じような状況となっています。
今年1月からの米ドル/円は、3月下旬にかけて113円台から104円台まで下落しましたが、今回は、まずは108円にサポートがあるため、そこまでの下げは期待できるのではないかと考えています。
(出所:サクソバンク証券)
■この時期の米ドル/円は3年連続で下落!
また、過去の米ドル/円は、この時期は3年連続で下げています。
下のチャートは、2017年12月から2018年3月にかけての下げです。
(出所:サクソバンク証券)
下のチャートは、2017年1月からの下げです。
(出所:サクソバンク証券)
そして、下のチャートは、2015年12月からの下げになります。
(出所:サクソバンク証券)
これより前になると、アベノミクス相場で上昇していますが、直近3回は、12月~1月に下げ始め、3月~4月ごろまで下げが続いています。
季節性やIMMポジションの偏り、昨年(2017年)と同じような形のチャート、動意づいた相場でもあるため、まずは108円のサポートまで下げる可能性があるのではないかと考えています。
■2019年の米ドル/円の下限は100円!?
今年(2018年)は今週(12月24日~)で終わりですが、今年の米ドル/円は9.99円の値幅と、変動相場制になってから最小の変動値幅となっています。
(出所:Bloomberg)
2017年も小幅な動きだったため、来年(2019年)は動く年になるのではないかと期待しています。直近10年間の変動率は平均で約14.3%となるため、今年(2018年)の終値を110円とすれば、来年は、平均からは約15.7円幅は動くことになります。
変動幅では、直近10年間の平均は16.15円のため、上記と合わせると、平均からは14円~16円は、動く可能性があるのではないかと考えています。
基本的に、米ドル/円は下がる可能性が高いと考えていることもあり、来年(2019年)は下限を100円とすれば、上限は115円になるのではないかと考えています。
(出所:Bloomberg)
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