■ユーロ/米ドルは1.12ドル割れも、今後はブレグジット次第か
先週(3月4日~)は、2つのサプライズがありました。
まず、米雇用統計は、NFP(非農業部門雇用者数)が予想18万人増に対して、2万人増と驚きの少なさ。1年6カ月ぶりの小幅な伸びだそうです。
もうひとつが、ECB(欧州中央銀行)理事会。9月からTLRTO(条件付き長期リファイナンスオペ)を実施すると発表しました。
【参考記事】
●米ドル/円は強い! 調整しても大崩れ回避!? ECB理事会でTLTROの導入はあるのか?(3月5日、バカラ村)
●ドル/円は下落調整があれば、2019年内に120円の大台にトライする可能性が高まる!?(3月8日、陳満咲杜)
注目したいのはECB理事会。予想以上にハト派だったことで、ユーロ/米ドルは2017年6月以来の1.12ドル割れとなりました。
重要なサポートをブレイクしましたが、一気に下がるわけではなく、かといって「ベアトラップ(※)」となって一気に戻すわけでもなく、中途半端な形。
オプションの影響もあるのでしょうが、ブレグジットがハッキリしないとユーロも動きにくいのかもしれません。
(※「ベアトラップ」とは重要なサポートをブレイクしたものの、ダマシとなって反転するチャートパターンのこと)
【参考記事】
●バカラ村流テクニカル分析を徹底解説! 信頼度の高い「ダマシ」のシグナルとは?

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
■「英ポンドの運命を握る3日間」は3月12日から
ブレグジットについては今週(3月11日~)、重要な下院採決が続きますよね。
3月12日(火)がメイ英首相のEU(欧州連合)離脱修正案の採決です。これが否決されると3月13日(水)にノーディール・ブレグジット(合意なき離脱※)の是非を問う採決となり、これも否決されると3月14日(木)にEU離脱期限の延期を問う採決が行われる予定です。
(※編集部注:「合意なき離脱」とは、2年間の交渉で合意に至らず、何の取り決めもないまま、英国がEUを離脱すること)

3月12日にEU離脱修正案の採決を控えるメイ英首相。EU離脱修正案が否決されると3月13日に合意なき離脱の是非を問う採決となり、これも否決されると3月14日にEU離脱の延期を問う採決が行われる予定となっている (C)Matt Cardy/Getty Images News
「英ポンドの運命を握る3日間」といっていいでしょう。
コンセンサスは「否決、否決からの延期」ですし、その場合は「いつまで延期されるのか」も注目点。延長期間が長くなるほど再国民投票などの可能性も浮上してきて、英ポンドにはポジティブです。
この3日間次第でユーロが動く可能性もありますし、英ポンド/円が大きく動けば米ドル/円も影響を受ける。
逆にいえば、これがハッキリしないと今週(3月11日~)はモメンタムが出にくいかもしれません。
■米ドル/円が「構造転換」!? 当面が底堅い動きが続きそう
米ドル/円では、「構造転換」を指摘する声がチラホラと聞こえてきますね。
僕も含めて今年(2019年)は円高を予想する声が多かったのですが、注目したいのが機関投資家の動き。
雑感的な話になりますが、最近では機関投資家向けのセミナーが活況を呈しており、主催者は超一流ホテルのセミナールームを抑えるのが難しくなっているようです。
基本的に外モノへの投資となるため、為替市場では円売りの動きとなります。
米雇用統計の数字が悪かった割に米ドル/円が底堅かった背景には、年度末へ向けた機関投資家の米ドル買いがあったのかもしれませんね。
【参考記事】
●3月期末絡みの本邦勢の米ドル買い旺盛!? 米ドル/円は、じりじり115円を目指す展開へ(3月7日、西原宏一)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 30分足)
2月は通常なら円高になりやすいのですが、今年(2019年)は円安でしたし、当面、米ドル/円は底堅い動きが続くのではと思います。
(次ページでは、米経済指標や米中貿易協議、英ポンドの見通しの話題が…)
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