■イスタンブール市長選挙はどうなったのか?
トルコは今週(4月15日~)も、イスタンブールの市長選挙の行方がもっとも大きな話題になっています。
【参考記事】
●イスタンブール市長選、まだ決着せず…。再選挙実施ならトルコリラの売り材料に!?(4月10日、エミン・ユルマズ)
イスタンブールの市長選挙で何があったのでしょうか?
日本の皆様にわかりやすく説明できるよう、時系列で並べてみました。
まず、選挙が行われたのは3月31日(日)です。現地時間の17時にすべての投票が終わり、集計に移りました。
集計は順調に進んで、アンカラやイズミルなどの大都市は野党が大きな差をつけてリードしていました。
イスタンブールは与党・AKP(公正発展党)が僅差でリードしていました。3月31日(日)の深夜に集計の98%が終わったところで、政府の報道機関がデータの中継を止めました。
この時点で、まだ与党が4000票でリードしていましたが、野党・CHP(共和人民党)がどんどん差を縮めていました。その後、11時間も集計結果の報道はありませんでした。
この報道が止まった直後に、与党の候補者であるユルドゥルム元総理が記者会見を行い、勝利宣言しました。また、与党の勝利を祝う掲示板や旗が、イスタンブール全体に広がり始めました。
しかし、YSK(トルコ選挙管理委員会)は野党の候補者であるイマモール氏が2万7000票の差をつけてリードしていると公表しました。
これを受け、今度は野党側が勝利宣言をしました。4月1日(月)の最終結果は、野党が2万票の差で勝利していたことを示していました。
しかし、与党が選挙結果に異議申し立てを行い、無効となった票については再集計が行われました。両候補者の差は1万4000票まで縮小しましたが、ひっくり返ることはありませんでした。
これを受け、与党は有権者の登録に不正があったとして選挙管理委員会に調査を依頼しましたが、結果に影響を与えそうな不正は見つかりませんでした。
■まだ市長は就任せず…。選挙やり直しの可能性も?
選挙から16日以上経っていますが、まだイスタンブール市長が就任していません。
与党は最終的に、選挙のやり直しを求める申請をすると公表しています。
これが認められるかどうかわかりませんが、認められた場合、再選挙は6月2日(日)になるとのことです。
■トルコリラは、イスタンブール市長選の動向がカギに
トルコリラは、対米ドル・対円ともに弱い動きが続いていますが、イスタンブール市長選が泥沼化していることはトルコのイメージを悪化させていて、これがトルコリラの売りにつながっている可能性があります。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
トルコは民主主義国家であり、今まで選挙の正当性が問われたことがありません。イスタンブールの市長選挙の状況は極めて異例のことで、4月1日(月)からトルコのCDS(クレジットデフォルトスワップ)は上昇傾向にあります。
(出所:Bloomberg)
したがって、選挙のやり直しはトルコリラのさらなる売りにつながる可能性があります。
選挙がやり直しとなった場合のトルコリラ/円の下値は17円、やり直し申請却下となった場合の上値は21円だと考えます。
(出所:Bloomberg)
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