■エルドアン大統領、三大都市で敗北!
2019年3月31日(日)にトルコの地方選挙が行われました。注目が集まっていたのはトルコの三大都市である、イスタンブール、アンカラ、イズミルの市長選挙でしたが、三大都市においても与党のAKP(公正発展党)が敗北し、野党のCHP(共和人民党)が勝利しました。
【参考記事】
●トルコ地方選挙前にボラティリティが急騰! トルコリラが乱高下した本当の理由とは…!?(3月27日、エミン・ユルマズ)
イズミルはCHPの勝利は選挙前からもほぼ確実でしたが、首都のアンカラとトルコ最大都市のイスタンブールは接戦となり、アンカラは数ポイント、イスタンブールは数万票の差で野党が勝利しています。
■エルドアン大統領の地元、イスタンブールでも敗北
特にイスタンブールはエルドアン大統領の地元であり、1994年の市長選挙で市長に当選して以来、実に22年間も負けたことがない都市です。わずかな差とはいえ、今回、与党がイスタンブールで負けたことのインパクトは大きいと思います。

トルコ地方選挙で、与党はエルドアン大統領の地元であるイスタンブールでも敗北。エミンさんは、イスタンブールで負けたことはインパクトが大きいとの見解を示している (C)Anadolu Agency/Getty Images
実は、イスタンブールの市長選については、与党が一部の投票所におけるカウントのやり直しなどを求めているので、2019年4月3日(水)の本稿執筆時点において、最終的な結果が出ていません。
ただ、トルコの選挙管理委員会は野党の勝利を公表しているので、今からそれがひっくり返る可能性は低いと考えます。
エルドアン政権は大都市で負けたものの、全体の支持率としては40%台を維持できたうえに、AKPが極右政党のMHP(民族主義行動党)と結成している共和同盟は全体で過半数割れしていないので、地方選挙は完全な負けではありません。
■政治的対立がやわらぐ? トルコ経済にとって追い風に
今回の結果は、与党も野党もある程度メンツを保った内容なので、政治的な対立がやわらぎ、トルコ経済にとっては追い風になるのではないかと考えます。
エルドアン政権が大都市で敗北した背景に、景気悪化、インフレ率の上昇などがありますので、今後一段と経済対策に力を入れてくるし、トルコは今後、数年間選挙がないので国内政治の混乱がなくなると期待されています。
【参考記事】
●トルコ地方選挙前にボラティリティが急騰! トルコリラが乱高下した本当の理由とは…!?(3月27日、エミン・ユルマズ)
●トルコの経済指標悪化が加速している! 失業率はリーマンショック以来の水準に(3月20日、エミン・ユルマズ)
選挙結果を見ると、地中海、エーゲ海、マルマラ海などの海岸沿いは野党、内陸部は与党が勝利しています。
【参考記事】
●下落止まらぬトルコリラ相場を天才トルコ人ストラテジストが解説! 山場は6月大統領選
これは、おもしろい現象で、なんとなく米国の大統領選挙に似ています。
産業が発展していて、よりコスモポリタンな地域では野党が勝利、内陸部の保守的な地域では与党が勝利しています。
米国でもカリフォルニアなど大都市が集中していて、IT産業が発展している地域で民主党、内陸の保守的な州で共和党が勝利を挙げていました。
トルコリラの方ですが、選挙リスクで…
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