■イスタンブール市長選挙は、まだ決着せず…
2019年3月31日(日)に行われたトルコの地方選挙は、イスタンブール以外の地域で決着がついて選挙は終わりましたが、イスタンブールの市長選挙についてはまだ決着がつかず、新しい市長が確定していません。
【参考記事】
●トルコ地方選挙は三大都市で与党敗北!? トルコリラ反発も、次は対米外交が火種に…(4月3日、エミン・ユルマズ)
イスタンブール市長選は、トルコの最大野党CHP(共和人民党)のエキレム・イマモール候補と、エルドアン大統領が党首を務める与党AKP(公正発展党)のユルドゥルム元総理の戦いになりました。
選挙の結果、イマモール氏が約2万票の差で勝利しましたが、与党が選挙結果に異議申し立てを行い、一部の選挙区では票の再集計が行われました。
再集計の結果、両候補者の差は1万4000票まで縮小しましたが、逆転するにいたりませんでした。
トルコ三大都市のイスタンブール、アンカラとイズミルの市長選選挙においてCHPが勝利し、イスタンブール以外の都市ではすでに新市長が就任しています。
■エルドアン大統領は、野党の勝利宣言は不当と発言
エルドアン大統領は、4月8日(月)の記者会見で、「有権者の総数が1000万人いるイスタンブールにおいて、わずか1万4000票の差で野党候補が勝利宣言したことは不当である」と発言しています。
「わずか1万4000票の差で野党候補が勝利宣言したことは不当」だと発言したエルドアン大統領。イスタンブール市長選挙は、どのような結果に落ち着くのだろうか… (C)Anadolu Agency/Getty Images
また与党側は、イスタンブールの市長選では組織的な犯罪があったので、市長選をやり直すべきと訴えています。
これらの動きについては、野党側から強い反発があり、与党が僅差で勝利している他の市町村は問題にならないのに、イスタンブールだけが問題にされるのはダブルスタンダードであると批判しています。
選挙から10日以上経過していますが、状況が泥沼化しつつあります。
昨日(4月9日)にAKPの異議申し立てを受け、集まったトルコのYSK(選挙管理委員会)は、AKPが求めていた全選挙区での再集計要求を却下しましたが、21の選挙区における一部の投票箱については再集計を認めました。
これらの投票箱で結果がひっくり返ることはなさそうですが、与党側が諦めることもなさそうです。
■再選挙実施なら、トルコリラの大きな売り材料に
先週(4月1日~)は、選挙前に作られた売りポジションの買い戻しでトルコリラは堅調でしたが、今週(4月8日~)に入ってから弱い動きが続いています。
【参考記事】
●トルコ地方選挙は三大都市で与党敗北!? トルコリラ反発も、次は対米外交が火種に…(4月3日、エミン・ユルマズ)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:トルコリラ/円 1時間足)
米国とトルコの関係を悪化させているS-400問題については、今週(4月8日~)、新たな進展がありません。
【参考記事】
●トルコリラはスワップ金利狙うには好環境!?トルコが抱えるリスク、S-400問題とは…?(2月27日、エミン・ユルマズ)
4月8日(月)にエルドアン大統領はモスクワを訪問し、ロシアのプーチン大統領と会談しました。
会談後の報道では、両国の経済協力の強化などの説明がありましたが、肝心のS-400問題についての言及はありませんでした。
イスタンブール市長選について、与党と野党の対立が激化しているのはトルコリラに悪影響を与えていると考えます。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:トルコリラ/円 日足)
現時点で市長選のやり直しの可能性まで浮上していますが、選挙のやり直しとなった場合、再選挙の日は6月2日(日)になるそうです。
現時点でまったく見通しが立ちませんが、選挙のやり直しというシナリオはトルコリラにとって大きな売り材料になる可能性がありますので要注意です。
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