■米ドル/円、1週間の値幅が40銭と膠着…
先週(4月15日~)の米ドル/円は、イースター休暇の影響もありましたが、約40銭しか値幅がなく、非常に小動きに終始した週となりました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
日米通商交渉で、為替条項に対する警戒があったものの、その内容も出てこなかったことから、安心感で一時的に円安へ推移しましたが、112円台には輸出の売りもあって、上値は112.16円までとなりました。
■ユーロ下落も、レンジブレイクにはつながらず
4月18日(木)には、ドイツの4月製造業PMI(購買担当者景気指数)の発表がありました。
市場には、中国の経済指標の下げ止まりもあって、ユーロ圏の経済指標も下げ止まるのではないかとの期待もあったのですが、結果は44.5と悪く、ユーロ売りになりました。
前回(3月)も、44.1と悪かったこともあって、ユーロ圏の景気はまだ、下げ止まったとは言えないような状況です。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
経済指標(PMI)の発表で、ユーロ/米ドルは1.1225ドルまで下がったものの、1.1170~1.1500ドルのレンジをブレイクできるほどの材料でもなく、横ばいの推移が継続しています。
■株式市場のポジション調整が米ドル/円に波及!?
今週(4月22日~)の注目すべきイベントは、週末(27日)から始まる日本の10連休や、26日(金)の日米首脳会談、そして、その前に行われる予定の、麻生財務相とムニューシン米財務長官の日米財務相会談になります。
先週(4月15日~)の日米通商交渉では、為替条項に触れていませんでしたが、以前、ムニューシン米財務長官は、日米通商交渉の中に、これを含めると発言していました。さらに、自動車関税への警戒感もあって、円高への警戒感がある状態です。少なくとも、円安へは推移しにくい状況です。
【参考記事】
●もし、10連休中に円高なら絶好の買い場に!? レンジ抜けた豪ドル/円は倍返しの上昇へ!(4月16日、バカラ村)
日米通商交渉では為替も議題となると発言していたムニューシン米財務長官。自動車関税への警戒感もあって、バカラ村さんは、少なくとも円安へは推移しにくい状況だと指摘している (C)Bloomberg/Getty Images
また、1月3日(木)にフラッシュ・クラッシュもあったことから、今回の連休にも、その警戒感が市場にあるため、連休前にポジションを落とす動きも出てくると思います。
為替市場は日本の連休中も開いていますが、株式市場の方は閉まっているため、そちらでポジションを落とす動きが予想され、それが米ドル/円の上値を重くすると思います。
【参考記事】
●10連休にフラッシュ・クラッシュはないとみる理由とは?トラウマとなった年初との違いは?(4月19日、陳満咲杜)
●「令和」最初のGWは怒涛の10連休!FX、外国株、取引所CFDで取引三昧はいかが!?
●日経225先物が10日間取引停止へ! もし暴落したら…10連休に日経平均を取引するには?
●日経平均が死んでる10連休でも取引できる日経平均連動CFDのスペックを徹底調査!
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■スワップ大量付与に絡んだタイミングで動き出るか?
すでにポジション調整が起きてもいいようなタイミングですが、イースター休暇の影響もあって、米ドル/円は、いまだに111.90~112.00円を中心(※)とした動きのない状態が続いています。
(※編集部注:本記事の寄稿後、4月23日(火)の東京時間に米ドル/円は一時、111.65円付近まで下落した)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
ただ、4月24日(水)には、スワップポイント(スワップ金利)が11日分つくため、それを狙った売買も出てくると思いますので、そのタイミングで動きが出てくると思います。
【参考記事】
●10連休前の4日間で32日分の大量スワップ! 為替変動リスクなしで年利30%儲ける方法も
そのため、米ドル/円も今週(4月22日~)半ばには、ポジション調整による下げもあるのではないかと考えています。
■大きな流れは2018年のような動きをイメージ
米ドル/円の日足チャートでは、スローストキャスティクスが買われ過ぎ圏からデッドクロスしています。112円は、今年(2019年)に入ってからの高値圏ということもあって、調整が起きやすいのではないかと考えています。
(出所:Bloomberg)
ただ、最近は対外証券投資が活発化しており、今年(2019年)に入ってからもそれが増加していることもあって、下がればそれらの買いで、米ドル/円やクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)は、底堅い動きが予想されます。
一時的に下がったとしても、大きな流れとしては、昨年(2018年)の米ドル/円の推移のように、ゆっくりとした上昇が続くのではないかと考えています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
■投機筋の円売りにはまだ増加の余地が
円高になるとすれば、円売りのポジションが大きく偏り、それが巻き戻されるときか、株式市場が急落するときだけではないかと思います。
現在、IMM(国際通貨先物市場)における、投機筋の米ドルに対する円売り越しは増えつつありますが、まだ約8.7万枚です。多いとは言える水準で、フラッシュ・クラッシュ直前の約8.8万枚(1月1日時点)と、ほぼ同水準ですが、調整しやすいと考える10万枚超えまでは、まだ、円売りは増える余地があります。
【参考記事】
●IMMの円売り越し13.6万枚! この数字が10万枚を越えると米ドル/円は調整しやすい(2017年11月21日、バカラ村)
●IMMの危険水準は円10万枚、ユーロ15万枚、英ポンド10万枚だが、さらに確認すべきは?(2018年9月27日、バカラ村)
※CFTCのデータを基にザイFX!が作成
■連休中の下がったところは買いで!!
株式市場も、米国株が高値圏にいることもあって、いつ調整しても良いような水準ですが、中銀がハト派になっていることもあって、大きく下落することも考えにくいため、株式市場もまだ、底堅いと考えるべきかと思います。
そのため、米ドル/円もポジション調整などで一時的に下がったとしても、機関投資家などの買いで下げ止まり、その後は、ゆっくりと上昇していく動きになるのではないかと考えています。
(出所:Bloomberg)
10連休中には、FOMC(米連邦公開市場委員会)や米雇用統計などもありますが、下がったところは買って良いのではないかと考えています。
【参考記事】
●もし、10連休中に円高なら絶好の買い場に!? レンジ抜けた豪ドル/円は倍返しの上昇へ!(4月16日、バカラ村)
●GW相場が米ドル/円を買う好機になるか!? 利下げ予想のあるNZドルは売り継続で!(4月18日、西原宏一)
●10連休中は月曜早朝に要注意! フラッシュクラッシュが起きれば米ドル/円の買い場に!?(4月22日、西原宏一&大橋ひろこ)
●ゴールデンウィークは円高になるって本当? 過去20年を徹底検証。10連休はどうなる…
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