■グーグルがファーウェイとのビジネスを一部停止
みなさん、こんにちは。
日本時間5月6日(月)未明に配信されたトランプ大統領のツイートをきっかけに、混迷を深める米中貿易戦争は、今週(5月20日~)もさらに加速。
【参考記事】
●米国からの圧力で急減速する中国経済! 利下げ予測もある豪ドル/円は70円へ…!?(5月16日、西原宏一)
●米中貿易戦争がある限り、リスクオンには戻らず!? 米ドル/円、豪ドル/円は戻り売りか(5月20日、西原宏一&大橋ひろこ)
米国からの圧力は、中国の通信機器大手にまで及びます。
米グーグル、ファーウェイとの一部ビジネス停止=関係筋
米アルファベット傘下グーグルは、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)へのソフトの提供など一部ビジネスを停止した。関係筋が19日にロイターに明らかにした。
米政府がファーウェイへの事実上の輸出規制を決めたことを受けた。
これにより、ファーウェイはグーグルが開発する基本ソフト(OS)「アンドロイド」のアップデートができなくなり、同社の中国国外のスマートフォン事業に打撃が及ぶ恐れがある。
出所:ロイター
報道によれば、ファーウェイを事実上、貿易のブラックリストに加えた米大統領令を受けて、グーグルが同社に対して自社サービスや技術サポートの提供及び協力の停止を検討しているとのこと。
つまり、ファーウェイはオープンソース版のAndroidしか使用できないことを意味し、グーグルが提供しているOSのアップデートや「Google play store」、「Gmail」、「You tube」といったグーグル製アプリが利用できなくなる可能性が高まることに。
これは、ファーウェイにとっては、かなり深刻な問題。
ファーウェイは「P30 Pro」といった端末の人気が高まっているようですが(個人的にはマックユーザーなので詳細は知りませんが…)、グーグルが提供しているサービスを使えないとなると、売れ行きは激減することになります。

ただ、ファーウェイはスマホOSも独自で開発しているというウワサもあり、その影響度に対する意見は分かれています。
■加熱する米中貿易戦争で、リスクオフ相場も継続か
5月21日(火)の一部報道によれば、「アメリカ商務省は、中国の通信機器大手ファーウェイに対する事実上の輸出禁止の措置をめぐり、一部の取引を90日間は容認する」としています。
これにより、短期筋による株の買い戻しも見られましたが、一連の報道がファーウェイにとって痛手であることは変わりません。そして、トランプ大統領の中国への強硬な姿勢も変わりません。
結果、米中貿易戦争は継続。リスクオフ相場継続で、「株安・円高」も継続すると想定しています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
■日経平均をチャート分析してみると…
「株安・円高」相場の中、日経平均をチャート分析してみます。
以下は、日経平均の日足チャートです。

(出所:Bloomberg)
昨年(2018年)の10月2日、2万4448円の高値に到達した局面に注目してください。
ギャップアップした後、ギャップダウンして、急落しています。
つまり、日経平均が2万4448円に到達した局面は「離れ小島」に取り残された高値となり、その後、急落しています。
このチャート形状は、「アイランドリバーサル」(※)と呼称されています。
(※編集部注:「アイランドリバーサル」とは、窓を開けた後に相場が反転し、再び窓を開けて元の水準へ戻った際に形成される「離れ小島」の様な形のこと)
そして、4月24日(水)に到達した高値も同じ。
令和相場に向けてギャップアップして上昇していた日経平均ですが、5月8日(水)はギャップダウンしており、この高値(=2万2362円)も、再び離れ小島に取り残された形に。
加えて、200日移動平均線も割り込んでおり、上値を限定的にしています。

(出所:Bloomberg)
さらに、僕が参考にしているTDシーケンシャル(※)もトップアウトを示唆しており、4月24日(水)に日経平均は高値をつけて下落トレンドに入った可能性が高まっています。
(※編集部注:「TDシーケンシャル」とは、トーマス・R・デマーク氏が開発したテクニカル指標の1つ)
■米国株、日本株ともにトップアウトした公算が高まる
一方、米国株も軟調。
NYダウは、昨年(2018年)1月、10月、そして今年(2019年)4月に2万6000ドル台で高値をつけ、反落。
これは、トリプルトップとなる可能性を示しています。
【参考記事】
●米中貿易摩擦再燃で米国株は調整入り…。NYダウ続落なら、米ドル/円は105円方向へ(5月9日、西原宏一)
加えて、4月の米国株相場は、ナスダック総合指数とS&P500指数が史上最高値を更新。
しかし、NYダウは高値を更新できず、これは弱気のサイン。

(出所:Bloomberg)
結果、米国株も日本株も先月(4月)から今月(5月)にかけて、トップアウトした公算が高まっています。

(出所:Bloomberg)

(出所:Bloomberg)
こうしたチャートが示すように、米国株、日本株ともトップアウトして続落するのであれば、為替相場では「円高トレンド」が続くことになります。
引き続き、「運用難に陥っている」本邦機関投資家は、米ドル/円の「押し目」では米ドル買いを繰り返していることから、今週(5月20日~)の米ドル/円は一時、110円台ミドルまで反発していますが、日経平均の上値が限定的であれば、米ドル/円の上値も限定的。
加熱する米中貿易戦争を背景に、「株安・円高」相場が継続。
105円に向けて下落中の米ドル/円の動向に注目です。
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