■メイ英首相が辞任表明! 後任はボリス・ジョンソン氏か
メイ英首相が、ついに辞任を表明しました。6月7日(金)の辞任が予定されています。
メイ英首相が、ついに辞任を表明。6月7日(金)の辞任が予定されている (C)Matt Cardy/Getty Images News
後継として名前が挙がっているのは、ボリス・ジョンソン氏。ロンドン市長や外務大臣を歴任した人物ですが「Hard Brexiter(ハードブレグジッター、EU(欧州連合)離脱強硬派)」との評判がもっぱらです。
6月10日(月)の週にはEU離脱法案の採決が予定されていますが、可決される可能性はほぼゼロでしょう。
メイ英首相の後継として名前が挙がっているボリス・ジョンソン氏。「ハードブレグジッター」との評判がもっぱらだが… (C)Justin Sullivan/Getty Images
10月末へ延期されたEU離脱ですが、混乱が続きそうですね。
個人的な印象ですが、ボリス氏は強硬派というより日和見主義。彼のもとで再度の国民投票に踏み切る可能性も出てきそうです。
【参考記事】
●6カ月間延長で、EU離脱日は10月31日に。2度目の国民投票実施はあり得るのか!?(4月15日、松崎美子)
EUではEU議会選挙も行われました。
5月27日(月)の午前中にも大勢が判明する見通しで、現時点(5月26日(日)夜)ではまだ情報が少ないですが、EU懐疑派の躍進が予想されますし、ドラギECB(欧州中央銀行)総裁の任期は10月まで。
選挙結果は、次期ECB総裁人事にも影響を与えそうです。
■ファーウェイ問題が波及し、SOX指数が急落
米中貿易戦争や英欧の混乱で、マーケットへの負荷が高まっています。
先週(5月20日~)は米国債が買われ、リスクアセット(リスク資産)である株が売られました。つまり「質への逃避」です。
米10年債利回りは一時2.30%を割り込んで、米ドル/円の下値余地も拡大しています。
【参考記事】
●加熱する米中貿易戦争でリスクオフ継続! 「株安・円高」相場で米ドル/円は105円へ(5月23日、西原宏一)
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
米株が崩れたのと同じ日、原油市場も急落し、2カ月ぶりの安値をつけましたし、それ以上に急落したのがSOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)。前週末から6%超下げています。
ファーウェイ問題の余波でしょうし、アップルの株価も崩れてきました。5月初めの高値から17%ほど下落し、ベアマーケット入りの目安とされる20%まであとわずか。
中国でアップル製品の不買運動のようなことが起きないといいのですが。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
米中貿易戦争は長期化が予想されます。政府が不買運動のようなことを裏で画策しないとも限らないですね。
習近平中国国家主席は、レアアース企業を視察しており、米中貿易戦争の交渉材料として、レアアースの禁輸措置を持ち出すのでは、との憶測も出ています。さすがに中国政府も、そこまでしないとは思いますが……。
6月のG20(20か国・地域首脳会合)で米中首脳が会談して合意するのではとの期待もありましたが、霧消してしまった感じですね。
■「年内3回の利下げ予想」の豪ドルは戻り売り
米株を牽引していたナスダック市場が崩れ、米金利も低下、原油もSOX指数も下落しているということは米ドル/円も下方向なのでしょう。
クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)、特に中国と関係の深い豪ドルはいかがですか?
ウェストパック銀行がRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])に対して「年内3回の利下げ」予想を発表しました。もし、本当に3回引き下げると1.5%から0.75%へ。
そうなればRBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])も耐えられずに利下げへ向かうでしょう。
年内3回の利下げは、織り込まれていませんよね?
まだ織り込まれていません。3回はともかくとして、あと2回は織り込みに行きそうです。
豪ドル/円は下方向ではあるのでしょうが、一直線に下がる感じもしない。戻りを待ってから売っても遅くはないでしょう。
【参考記事】
●米国からの圧力で急減速する中国経済! 利下げ予測もある豪ドル/円は70円へ…!?(5月16日、西原宏一)
(出所:Bloomberg)
■米ドル/円は戻り売り。市場の負荷が高まれば105円台も…
トランプ米大統領が来日していますが、市場への影響は今のところなさそうですね。
外交面から考えると、日米の蜜月ぶりを見せつけることで対中国、対韓国への抑止力的な意味合いがあるのでしょう。
今月5月16日(木)、イランの外務大臣が緊急来日し、安倍首相と会談しました。来月(6月)には安倍首相がイラン訪問を検討しているようです。
蜜月の裏には、イランとアメリカの緊張関係をほぐす仲介役としての日本の役割もありそうですね。
また、トランプ米大統領は日本との貿易交渉について、今夏の日本の選挙後まで合意を先送りする意向を明らかにしています。
いずれにせよ市場全般がリスクオフへと向かっています。
米ドル/円の109円台前半は本邦勢のまとまった買いがあるため止まりやすいですが、戻ったところは売り。
市場への負荷が高まれば105円台を目指す展開もありそうです。
【参考記事】
●加熱する米中貿易戦争でリスクオフ継続!「株安・円高」相場で米ドル/円は105円へ(5月23日、西原宏一)
(出所:Bloomberg)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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