■今年、来年で4回利下げ? その必要性はあるのか?
今現在、米国の景気は急激に失速しているわけではありません。
米国の友人によれば、好景気が続いているとの意見が多数。
米金利の大幅低下を受け、米国株は高値圏で推移しています。
この環境下、米金利先物市場では、年内に3回、来年(2020年)1回、トータルで4回の利下げを織り込もうとしています。
FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は会見で、「予防は治療に勝る」とコメントしていることから、現在の米国景気を維持するために予防的措置で利下げするのはわかるのですが、米金利先物市場が織り込もうとしている4回もの利下げをする必要があるのかどうか?
FOMC後の会見で「予防は治療に勝る」とコメントしたパウエル議長。西原さんは予防的措置で利下げするのはわかるとしながらも、米金利先物市場が織り込もうとしている4回もの利下げの必要性については… (C)Bloomberg/Getty Images News
実際に4回もの利下げをする必要が生じるのであれば、マーケットに大きな負荷がかかることになります。
そうなると、米中貿易協議が再び暗礁に乗り上げるのではと、多くのマーケット参加者が懸念しているものと想定されます。
■豪ドル/円を取り巻く環境を整理すると…
米中貿易協議が再び混迷することになれば、それは豪ドルの下落を誘引します。
RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])は、今月(6月)4日(火)に利下げを行い、政策金利は現在1.25%に引き下げられています。
加えて、金利先物市場では年内あと2回の利下げを織り込んでいます。
つまり、政策金利は0.75%まで低下することになり、この金利先物市場の動向も豪ドルの上値を抑えることになります。
ここで、豪ドル/円を取り巻く環境を整理すると、
(1) 米ドル金利の低下が、米ドル/円の下落を誘引
(2) RBAの連続利下げ予測は、豪ドルの下落を後押し
豪ドル/円は「『豪ドル/米ドル』×『米ドル/円』」で構成されていますので、上記の2点は豪ドル/円の下落を誘引することになります。
そして前述の、
(3) 米中貿易協議が再び混迷
というマーケットの懸念は、米中双方の株価の下落を引き起こすので、直接、豪ドル/円の売り要因となります。
結果、豪ドル/円の戻りは限定的で、豪ドル/円は70円へのじり安の展開が想定されます。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 週足)
米金利先物市場の織り込み度が急激過ぎるので戻りもあるのでしょうが、米ドル/円が、引き続き104円台に向けての下落の過程にあることは変わらず。
金利先物市場の利下げを織り込む形で、じり安の展開になっている米ドル/円と豪ドル/円の行方に注目です。
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)」です。
「トレード戦略指令!」は10日間の無料体験期間がありますので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスやチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)