■為替市場は米ドル高・円高・オセアニア通貨安
先週(6月10日~)の米ドル/円のレンジは108.15円~108.80円でした。
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米ドル高・円高のため、米ドル/円は小動きとなりましたが、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の下げが目立ちました。
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リスク回避の材料としては、米中の対立もありますが、香港でのデモや中東でのタンカー攻撃もあり、為替市場は米ドル高・円高・オセアニア通貨安の動きとなっています。
【参考記事】
●香港のデモ拡大が新たな不安要素に! 米ドル/円は104円台に向けての下落過程(6月13日、西原宏一)
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■英国は期限切れによる合意なき離脱へ!?
英国に関しては、保守党党首選の第1回投票で、ボリス・ジョンソン氏が1位となりました。
さらに、6月12日(水)には、英国議会で「合意なき離脱を回避する案」が否決され、英ポンドが軟調な展開となっています。
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次期保守党党首が決まるのは、7月下旬になりますが、EU(欧州連合)側との離脱交渉期限は10月末となっているため、短期間で合意するのは難しいのではないかと思います。
メイ首相のときは、離脱期限が到来しても、延期を繰り返してきましたが、ボリス・ジョンソン氏は、延期するつもりはないと発言しています。もし、10月末までに合意できなければ、期限切れによる合意なき離脱となる可能性が高まります。
そのため、英ポンドは軟調な展開が続くのではないかと思います。
■今週はFOMC。注目の利下げは…?
今週(6月17日~)の注目は、18日(火)~19日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)になります。
パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が、「米国経済の動向を注視し、景気拡大を維持させるために適切な行動をとる」と発言していたこともあって、利下げが実施される可能性が高まっています。
ただ、今回に関しては据え置きで、利下げは7月のFOMCというのが、市場のコンセンサスとなっています。
【参考記事】
●年内2回の米利下げ予想!? リスク回避から米ドル安に。ユーロ/米ドルは1.15ドルへ(6月4日、バカラ村)
6月4日(火)の講演で「適切な行動をとる」と述べたパウエルFRB議長。7月FOMCで利下げが行われるというのが、市場コンセンサスのようだ (C)Bloomberg/Getty Images News
少数派になりますが、今回のFOMCで利下げをするという予想もあるため、据え置きとなれば、瞬間、米ドル高に推移する可能性もありますが、7月に利下げを行う可能性が高いため、その動きは続かないと考えています。
【参考記事】
●6月に米利下げなら大きなサプライズ! 米ドル/円は109円台乗せで売っていいかも(6月10日、西原宏一&大橋ひろこ)
●強まる米利下げ期待、FOMCは失望に注意! クロス円が下落!? 豪ドル/円は戻り売りで(6月17日、西原宏一&大橋ひろこ)
■7月利下げはほぼ織り込み済み。パウエル議長はハト派へ
FOMCで市場が注目するのは、メンバーの金利見通しを示すドットチャートや、パウエルFRB議長の会見になります。
ここで利下げの可能性が出てくれば、米ドル安に推移するのではないかと考えています。
(出所:FRB)
CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のFEDウォッチでは、7月FOMCでの利下げ確率が84%まで高まっています。今の状態で利下げを示唆しなければ、昨年(2018年)後半のときのように、株価が下がることにもなるため、パウエルFRB議長もハト派な発言になると思います。
(出所:CME)
■来週はG20。米中首脳会談はどうなる?
市場のもう1つの注目材料である、G20(20か国・地域首脳会合)ですが、米中首脳会談の開催の有無は、まだ決まっておらず、トランプ大統領は、合意できなければ関税第4弾をかけることを示唆しています。さらに、「25%よりも、はるかに高い関税を課す」と脅している状況です。
【参考記事】
●米中交渉決裂なら米ドル/円は105円割れ!? トランプ大統領の円安誘導批判にも警戒!(6月13日、今井雅人)
6月28日(金)~29日(土)に大阪で開催されるG20の場で、米中首脳会談が開催されるかどうかは、まだ未確定の状態。トランプ大統領は合意できなければ関税第4弾の発動や、25%以上の関税を課すことを示唆しているが… 写真は2017年11月の米中首脳会談時のもの (C)Bloomberg/Getty Images
FOMCでは、今後、利下げされることが予想されていますが、関税第4弾も控えていることから、リスク回避の動きにもなりやすい状況といえます。
利下げとなれば、米国と、日本やユーロ圏などとの金利差が小さくなるため、米ドル安になる可能性が出てきます。
【参考記事】
●ユーロは積極的に買える状況ではない。でも、上昇余地があると考える理由は…?(6月11日、バカラ村)
■米ドル/円は買われる状況ではない!
米ドル/円は、108円台での推移が続いていますが、FOMCが利下げをすれば米ドル安になると思われ、リスク回避の動きもあって下がる可能性があり、今の状況からは、上昇するのは難しいと思います。
G20までは、動きにくいという面もありますが、買われるような状況ではなく、上がれば売りで良いような状況が続くのではないかと考えています。
(出所:TradingView)
クロス円が下がっていることもあって、それが米ドル/円の上値を抑えることにもなると考えています。
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