■G20サミット後、表面的にはリスクオンに
みなさん、こんにちは。
注目の米中首脳会談は、終了。
結果は…
(1) 貿易戦争で米中休戦を宣言
(2) トランプ米大統領が3000億ドル(約32兆3600億円)相当の中国製品への追加関税発動を先送り
(3) 両国は交渉再開で合意
さらにトランプ大統領は、ファーウェイに対する禁輸措置を緩和し、米企業に、同社への製品売却の再開を認めるとコメント。ただ、「国家安全保障上の重大な問題がない機器についてだ」と付け加えています。

G20サミットでの米中首脳会談を受けて貿易戦争は休戦。G20サミット後、マーケットは表面的にはリスクオンの動きに (C)Visual China Group/Getty Images
結果としては、ある程度、マーケットのコンセンサスどおりではあります。
G20サミット後のマーケットの反応ですが、まずリスクオフを警戒して、さまざまなヘッジをかけていたポジションの巻き戻しが起きています。
表面的にはリスクオンの動きとなり、「株高・債券安(金利高)・円安・ビットコイン安」。
ただ、その影響も長続きしません(今週公開した「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」を参照)。
【参考記事】
●米中休戦と米朝会談はサプライズだったが、リスクオンは長くない。米ドル/円は戻り売り(7月1日、西原宏一&大橋ひろこ)
■米長期金利に合わせて、米ドル/円は振れる展開
米10年債利回りは、一時2.04%まで急反発。
その後はじり安の展開となり、あっさり2.00%を割り込んで、一時1.93%台まで下落。

(出所:Bloomberg)
米金利の影響で、米ドル/円は一時108.53円まで反発するも、7月3日(水)には、あっさり107.53円まで下落。
米中首脳会談前(6月28日)の米ドル/円は、107.85円で引けていましたので、今週(7月1日~)は窓開けで始まっていたのですが、あっという間に窓を埋めて反落する展開に。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
一方、米金利の低下を受け、米国株だけは堅調。
7月3日(水)のS&P500は、前日比プラス0.8%ほど上昇して、3日連続で終値ベースの最高値を更新。NYダウも上昇し、2万7000ドル目前の2万6966ドルでクローズしました。

(出所:Bloomberg)

(出所:Bloomberg)
米国株の上昇は、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ予測のみならず、世界的な緩和期待も要因となっています。
■IMFのラガルド専務理事を次期ECB総裁に指名
今週(7月1日~)は、IMF(国際通貨基金)のラガルド専務理事が次期ECB(欧州中央銀行)総裁に指名されたことが話題に。
タカ派であるドイツ連銀のバイトマン総裁就任の可能性が消滅し、ハト派のラガルド総裁が誕生することになり、さらなる緩和期待から、欧州債は過去最低金利を続々更新したことが、世界的な株高を演出した模様。

次期ECB総裁に指名されたIMFのラガルド専務理事。ハト派のラガルド氏指名を受けて、欧州債利回りが過去最低を次々更新したことが世界的な株高を演出した (C)Visual China Group/Getty Images
ただ、欧州債が過去最低の金利を続々更新するも、ユーロ/米ドルは大きく値を下げることもありません。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
これは、前述の米金利が低下していることもありますが、トランプ大統領のツイートが影響していると考えています。
■トランプ大統領の過激ツイートが米ドル/円の上値を抑制
7月3日(水)のNY市場では、トランプ大統領のツイートが話題に。
トランプ大統領は、中国と欧州が「大きな為替操作ゲームに興じている。競争のために不公平な戦術をとっている」とツイート。
さらには、「我々も同じことをするべきだ。さもなければ他国が何年も前からゲームを続けるのを座って礼儀正しく眺めている間抜けであり続けることになる!」とコメントしました。
トランプ米大統領は、6月11日(火)にも「ユーロやその他の通貨は対米ドルで切り下げられている」とツイートし、欧州と中国を強烈に批判しています。
これは、米ドル安誘導を示唆しているわけですが、前述のようにハト派のラガルドECB総裁の誕生がユーロの上値を重くしていることもあり、ユーロ/米ドルは1.12ドル台後半でこう着しています。
一方、トランプ大統領から円に対する批判はなし。
ただ、これは参議院選挙後に、円に対する批判が高まるでのはないか?という憶測を呼んでおり、結果としてトランプ大統領のツイートは米ドル/円の上値を抑える要因になります。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
■トランプ大統領の通貨に対するコメントを検証すると…
ここで、トランプ大統領の再三に渡る通貨に対するコメントを検証してみます。
トランプ大統領が米ドル高の不満を何度表明しても、米ドルを動かすことはできません。
米ドルを動かす要因として大きいのが、米金利。米金利を動かす要因は、もちろんFRBの金融政策ということになります。
トランプ大統領は、直接、FRBに利下げを強制することはできません。
ただ、昨年(2018年)末は「2019年のFRBは3回利上げをする」というのがマーケットのコンセンサスでしたが、半年強経過した現時点でのマーケットのコンセンサスは「2019年のFRBは3回利下げをする」に一変しています。
本稿執筆時点では、FRBはまだ利下げを行っていません。
ただ、マーケットが年内の連続利下げを織り込む形で、米金利がじわじわと下がってきています。
そのため、トランプ大統領が再三不満を述べている米ドル高は、米金利の低下によって、じわじわと修正されようとしています。
そして、ECBがさらにハト派に傾くのであれば、ユーロ/円の下値も大きく拡大することになります。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)
G20サミット後の調整は一時的なものとなり、米10年債利回りは、じり安の展開。連れて、米ドル/円は再び107円台に反落。
依然として、100円に向けて下落過程にある米ドル/円とハト派であるラガルドECB総裁の誕生により、下値が拡大し始めたユーロ/円の動向に注目です。
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