■本格的な通貨戦争の可能性は排除できず…
今週(7月15日~)に入って通貨戦争に関する論争は、さらに活発化。
PIMCOのエコノミック・アドバイザーのフェルズ氏は、本格的な通貨戦争は、もはや可能性を排除できずと主張しています。
同氏はリポートで、現在の状況を「通貨冷戦の第3ラウンド」と表現、エスカレートするリスクがあると記述した。
出所:Bloomberg
フェルズ氏は、短期的には本格的な通貨戦争にエスカレートする可能性はないとも指摘していますが、その可能性を排除しきれないというレポートが続出。
特筆すべきは、こうしたレポートは、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス、PIMCOと、すべて米国側からの意見であるということ。
邦銀や欧州系の銀行からは、こうした意見は聞かれないため、米当局の思惑が入っているのかもしれませんが、こうした論議が活発化することで、米ドル/円の110円台がじわじわ遠くなりつつあります。
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■7月FOMCでの0.50%利下げ織り込み度が再び上昇
前述の通貨戦争の論議の活発化に加え、米ドル/円の上値を抑えているのが、今月(7月)31日(水)に発表される、FOMC(米連邦公開市場委員会)の利下げに関する予測。
繰り返しになりますが、0.25%の利下げは100%織り込み済み。
注目は、0.50%利下げの織り込み度です。
本稿執筆時点では、再び34.5%まで上昇しています。
【参考記事】
●トランプ大統領が米ドル安誘導に本腰!? リスクオン相場でもドル/円下落のワケは?(7月15日、西原宏一&大橋ひろこ)
米10年債利回りも、再び2.04%まで反落。
こうした米金利の低下が米ドル/円の上値を抑えており、本稿執筆時点での米ドル/円は107.65円まで下落。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
この米ドル/円の下落が日経平均の下落を誘引し、日経平均は、一時2万1126円と、極めて軟調に推移しています。
(出所:Bloomberg)
■米為替介入の論議活発化で、ドル/円は100円へ下値拡大中
この日経平均の下落は、NYダウにも影響を与えています。
NYダウはFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ予測を材料に、節目の2万7000ドルを上抜いてきましたが、続伸できず、7月17日(水)のNY市場では115ドル安と反落。
(出所:Bloomberg)
仮にNYダウが再び2万7000ドルを割り込み、続落すると、NYダウはブルトラップとなり、急反落するリスクを抱えることになります。
この場合、日経平均が弱気ダイバージェンスを示唆していたことになります。
(出所:Bloomberg)
米国株も含めてグローバルに株が調整するとなれば、リスクオフ相場となり、米ドル/円の下値余地が拡大することになります。
米国で為替介入に関する論議が活発化しており、米ドル/円の下値余地は100円へ拡大中。
日経平均も軟調に推移するなか、110円が徐々に遠くなり、ダウンサイドリスクが高まっている米ドル/円の行方に注目です。
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